手負いの虎が今季最長の大型連戦に突入する。新型コロナウイルスの集団感染に伴って大量離脱を強いられている非常事態の中、29日の中日戦(甲子園)から13連戦がスタートする。離脱選手の戦列復帰の見通しが立たない状況で、先発陣の中5日登板に加え、リリーフ陣もフル回転する可能性が高い総力戦が幕を開ける。

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13連戦を目前にした矢野監督の言葉が、今のチーム状況を表している。

矢野監督 先を見る余裕はない、正直。13連戦を考えて、やらなあかんというのは俺の中であるけれど、それはちょっと今の状態で(先を見ること)はできない。目の前の試合を、みんなで勝つのはもちろんだけど、どう戦うかというところが俺らのやれること。あまり13連戦を考えると、逆に重たいので。

25日に5選手のコロナ感染が発表され、同日には濃厚接触者と認定された2選手、球団独自の濃厚接触者扱い4選手を含め、19人におよぶ1・2軍入れ替えが行われた。翌26日には尾仲が特例2020で代替指名選手として登録された。25日に抹消となった10選手と、先に2軍調整となり入院中である浜地の戦列復帰時期は不透明。13連戦中に非常事態が解消されない可能性もある。

苦境は文字通り総力戦で乗り切るしかない。まずは先発陣が中5日登板を重ねるケースも浮上しそうだ。29日に13連戦初戦マウンドに立つ高橋は、その後、中5日で10月5日巨人戦(甲子園)に回ることが最有力とみられる。さらに中5日を続ければ、13連戦最終日の11日DeNA戦にも登板可能。もちろん、本人は目の前の一戦に集中している。

高橋 いつもできるだけ長いイニングを投げることを意識していますが、(29日は)13連戦の初戦なのでいつもより特に強い意識を持って投げたいです。(中5日が続く可能性があることを聞かれ)まずは明日なので、明日、しっかりいい投球ができるように頑張ります。

悲壮な覚悟を示した左腕はこの日、甲子園でキャッチボールやショートダッシュに汗を流した。高橋だけでなく、青柳や西勇らも13連戦中に中5日登板で間隔を詰める可能性があり、救援陣のフル回転も予想される。岩貞、岩崎らを欠いて手薄になったリリーフ陣の中、藤浪への期待も高い。藤浪は今回の緊急事態の中で当面中継ぎ起用されることが決まり、前夜まで2試合連続登板したように連投も支障ない。コロナ禍で陥った苦境。力を結集し、乗り越えにいく。【松井周治】