悔しさにじむ降板後、日本ハム上沢直之投手(26)のエースの品格が表れた。

初回にロッテ打線に捕まり、3失点で先制点を献上。その後は立ち直り、7回を投げ抜き8安打3失点。球数123球にも「試合を壊さなかったことは自信にして、これからも継続していきたいです」と前を向いた。

8回にも続投を志願したが、木田優夫投手コーチ(52)は「120球を超えていたので本当に無理やり、ちょっと止めたところもある」と説明。選手生命が危ぶまれた左膝骨折の大ケガから、復活1年目。上沢はコーチの判断を受け止めると、2番手の堀がマウンドに向かうまでベンチに残った。堀が出てくると、ひと言。「頑張れよ」と送り出したという。

アイシングなど自らのルーティンを後回しにし、マウンドを任せる後輩に声を掛けた姿。木田投手コーチは「そういう姿勢が、本当に上沢らしいし、エースだな」と胸を打たれた1人だった。栗山監督も「何とか勝ちを付けてあげたかったけど、とてもいい姿だった」と話した。エースの振る舞いは敗戦の中、ひときわ際立っていた。