「あと1球」に負け、ロッテナインの力が抜けた。1点を追う9回2死満塁、託されたのは4番安田。カウント3-1からの日本ハム宮西の甘い直球に手が出ない。2球ファウルを挟み、8球目の低め直球を見送ると、球審の手が挙がった。見逃し三振に表情を固め、ひざを突いた。

井口監督は「3-1からの直球を振れなかったところじゃないですかね。手堅くいってしまったのかな。あそこは振ってファウルでいい」と話した。指揮官は試合序盤から「今日は(ストライクゾーンが)特に広かった」と感じていたという。だからこそ、カウント球への消極的な姿勢には、首をひねった。

優勝争いは本格化する。野手15人以上を起用したのは今季8度目だ。1勝の大切さと、それを左右する1球の重み。「そういうところをどんどん勉強してもらえたら」と井口監督は願う。若き4番は、何を感じたか。【金子真仁】