武骨な九州男児が記念球をにぎりしめた。DeNAドラフト3位ルーキーの伊勢大夢投手(22)が、プロ初勝利を手にした。同点の5回から3番手で登板し、2回無安打無失点で逆転勝利に貢献。「勝利投手のチャンスを意識した方が気合が入る。しっかり意識して投げた」と聖地で勝ち名乗りをあげた。

九州学院(熊本)から明大に進み、プロ入り。高校の2学年後輩にヤクルト村上、大学の同期は広島森下と、“格上”の戦友たちが闘志をかき立てる。「明大の先輩や、高校の村上だったり、僕と同じ経歴上で活躍している人がたくさんいる。その中で負けたくない気持ちは大いにある」。最も意識するのは新人王候補の“イケメン右腕”だ。「特に森下は去年まで4年間、一緒にやっていた。僕は2番手投手だった。プロの戦いの中で彼には負けたくない」と言った。

今季は21試合に登板し、防御率1・14と安定感を発揮している。最速154キロの直球を軸に、スライダー系と逃げながら落ちるスプリットが武器。先輩の三嶋を見習い「1人1人の打者に魂を込めて投げていくというのを受け継いでいけたら」と、スリークオーターから重い球を投げ込む。高校時代に2度の出場でつかめなかった甲子園でプロ初勝利。記念球は「親にあげたいと思う。『高校で勝てなかった分、やっと勝てたよ』と言いたい」と感謝を込めた。【為田聡史】

▽DeNAラミレス監督(初勝利の伊勢に)「時間がたつごとに良くなっている。当初は右打者だけに投げていたから成績は良かったが、今は左打者にもいい結果が出ている。信頼できる投手になっている」

◆伊勢大夢(いせ・ひろむ)1998年(平10)3月7日、熊本県生まれ。九州学院では3年春夏に甲子園出場。明大では1年秋から登板し、リーグ戦通算22試合で4勝4敗、防御率2・89。3年夏には大学日本代表に選出。19年ドラフト3位でDeNA入団。今年6月20日広島戦でプロ初登板。今季推定年俸1000万円。182センチ、90キロ。右投げ右打ち。