無双の男が、ついに敗れた。球団新の開幕14連勝を目指した巨人菅野智之投手(31)が、6回4失点で敗れ、昨年9月4日の中日戦以来405日ぶりの黒星を喫した。前回登板では66年の堀内恒夫氏に並ぶ球団タイの開幕13連勝&プロ通算100勝を達成。負け知らずの快進撃を続けたが、今季ワーストの7安打に失策も絡み、チームも3連敗。阪神が敗れ、巨人の優勝マジックは11となった。

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一塁側ベンチ後方の2列目右端。菅野はいつも通りの位置から、表情を変えずに味方の反撃を待った。6回119球を投げて7安打4失点。力投に応えたい打線は直後の6回に4連打で1点を返し、なおも1死満塁とチャンスを広げた。

差は3点。だが“定位置”で見守るエースの願いは届かず、ウィーラーが見逃し三振、大城は中飛に倒れ、仕事を終えた右腕は静かにベンチ裏へ下がった。昨年9月以来、405日ぶりの黒星。原監督は「ずっと緊張感の中で投げて、チームを非常にいい状態にしてくれた。記録というのは永遠に続くものではない。本人も見えないものにも非常に感謝していると思います。次につなげればいい」。

開幕14連勝を目指したマウンドで、エースは微妙な制球に苦しんだ。4回は1点を追加された直後の1死一、二塁から坂倉を一塁ゴロに打ち取ったが、併殺を狙って遊撃に転送されたボールを坂本がベースカバーに入った菅野に悪送球。さらに1点を失うと、菊池には高めに浮いた149キロを右翼線に運ばれた。

この回3点を失い、試合の主導権を握られた。「今まで順調にいき過ぎたところもある。何とか粘ろうとしましたが、うまくいかないところもあると思います」と受け止めた。101球を投げ終えた5回は、4点を追う2死一塁で代打を送られずに打席に入った。指揮官は「智之のバッティングに期待して、また次のイニング投げさせたというところ」。続く6回をきっちり無失点に抑え、バトンを渡した。

球団新の開幕14連勝は逃したが、成し遂げた記録は色あせない。開幕戦は1点を追う7回に吉川尚の2ランで逆転し、2戦目は6回途中5失点も黒星は付かなかった。周囲への感謝を忘れず、無双の投球で白星を積み上げてきた。菅野は「これを肥やしにして、次の登板に向けてしっかり調整します」と仕切り直しを期した。【前田祐輔】

▽巨人宮本投手チーフコーチ(菅野の働きぶりをたたえ)「今年は18番というのが光った年ですよね。何よりも智之が火曜に投げることで勝ち星を積み重ねてくれた。勇気も与えてくれた。次に投げる投手のプレッシャーの軽減につながった。我々コーチも感謝の気持ちです。チューズデー・ウインドー。いい風を流し込んでくれた」

◆堀内も広島戦でストップ 菅野の開幕からの連勝が13でストップ。新人の66年に開幕から13連勝した堀内の初黒星は7月31日広島戦。先発した堀内は4回0/3を投げ2失点、チームは0-2で敗れた。両投手とも広島に開幕からの連勝を止められた。