「積極性」と「修正能力」の5戦連発だ。DeNA佐野恵太内野手(25)が、5試合連続本塁打となる20号ソロを放ち、球団記録に並んだ。1点を追う8回無死、巨人大江の初球を捉え右翼席に運んだ。11日阪神戦(甲子園)から5戦連発。68年長田、77年田代、04年ウッズ、08年村田、13年ブランコに肩を並べた。

ここまでの4試合の内容を振り返えると、持ち味の思い切りの良さと、研究熱心さが現れている。

(1)16号ソロ(11日阪神戦)2回無死の第1打席(秋山=右110メートル)「先制」

(2)17号2ラン(13日ヤクルト戦)6回無死二塁の第3打席(高梨=中120メートル)「決勝」

(3)18号ソロ(14日ヤクルト戦)5回無死の第3打席(石川=右110メートル)

(4)19号ソロ(15日ヤクルト戦)2回無死の第1打席(吉田喜=右115メートル)「先制」 ※「」は肩書

第1打席での先制弾が2本に、先発投手との3度目の打席で2本だ。ここまで打率3割3分2厘の佐野。6月から毎月、3割3分以上の高打率を維持してきたが、10月は打率2割1分3厘と低調だ。それでも13日の試合前、ラミレス監督からの助言で「らしさ」を取り戻した。「ヒットを欲しがって当てに行くのではなく、強いスイングで外野の間を抜いていくことを心掛けるように言われた」。首位打者のタイトルが現実味を帯びても、しっかり力強いスイングを意識した。

8月の月間MVP受賞時には「1日の終わりに反省をしっかりとして、次の日に向けて準備をするという作業が毎日できている」と話した佐野。相手先発の特徴やデータを頭に入れ、プランを持って臨むことで、初球から思い切りのいいスイングが出来ている。たとえイメージと現実にズレが生じても、持ち前のバットコントロールで修正を図る。実際、13日も前の2打席は左飛と二塁併殺打。14日はいずれも三振だったが、「三度目の正直」で快音を響かせた。

積極性+修正能力=本塁打。若き主砲の成長は止まらない。【鈴木正章】