「ハマの韋駄天(いだてん)」が大仕事! DeNA梶谷隆幸外野手(32)が、値千金の逆転満塁本塁打を放った。7回、3点差に迫りなお無死満塁、巨人高梨の2球目を右中間席に突き刺す18号グランドスラム。8回には2打席連発となるダメ押しの19号2ラン。7年ぶりに6打点を挙げる大活躍で、優勝目前の首位巨人を相手に、2試合連続の逆転勝利に導いた。

「持ってる男」が、またまた大きな1発を放った。7回無死満塁、変則左腕高梨の内角低め142キロをジャストミート。ベイ党も、G党も、詰め掛けた1万5833人の最大音量の歓声と悲鳴が交差した。

梶谷 ちょっと緊張していました。久々にいい感触でいってくれるかなと。打ててよかったです、

大歓声の中、思わず一塁を踏み損なった場面には「永池コーチとハイタッチしようと思ったんですけど、思った以上に遠くて」と苦笑いで振り返った。

初対戦の高梨にも慌てなかった。「いろいろ聞いていて、自分がどう攻められるかもイメージしながら、自分の中で考えて打席に立ちました」という。「どんなイメージ? それはいいたくないです」と言葉を濁したが、初球の外角低め143キロをきっちりと見送り、内角低めへの2球目を完璧タイミングで捉え「イメージした感じに打てましたね」とニヤリ。ベテランらしい読みと技術が融合した1発だった。

今季は節目で、ファンを沸かせる本塁打を放っている。開幕時の無観客から、初めて有観客開催となった7月10日阪神戦(甲子園)では「有観客開催1号」となる先頭打者本塁打。また入場制限が緩和された9月19日、初めて外野席にファンを迎えた横浜スタジアムで「規制緩和1号」となる13号ソロを含む2発で、首位巨人を撃破した。

この日も同じく2発で、優勝に迫る巨人の足止めに成功。16日同カードに続く逆転勝利で、ホームのファンを前に意地を見せた。お立ち台では「毎日毎日、全力を尽くすだけ。明後日からも全力で頑張ります。シーズン終わるまで、応援よろしくお願いします」と力強く宣言。チームのため、自分のため、そしてファンのため-。最後まで、強力打線をけん引していく。【鈴木正章】