プロ6年目にして、初のキングへの道が見えてきた。3点を追う3回2死一、二塁。巨人岡本和真内野手(24)が、左翼スタンド中段へ豪快なアーチを描いた。「打ったのはカットボールか、スライダーです。まず追いつけたのが良かったですね。打てて良かったです」。22日ヤクルト戦以来の1発は、一時同点の27号3ラン。4戦連続で本塁打、打点から遠ざかっていたが、原監督も「ここで打ってくれというときに久々に1発」と2代目若大将の働きぶりに賛辞を贈った。

試合前まで26本で並んでいた阪神大山を抜き、本塁打部門でリーグ単独トップに躍り出た。打点も試合前時点ではリーグ2位の81だったが、84打点とし、82打点で1位に君臨していた中日ビシエドを一気に抜き去った。本塁打、打点の2冠が現実味を帯びてきたが、当の本人は「優勝のことしか考えていないです」と、きっぱり。個人の成績よりもチームとしての勝利。多くを語らなくとも、4番として、やるべきことは分かっている。

チームは4連敗を喫したが、2位中日も敗れたため、優勝マジックは「2」となった。今日29日にもリーグ連覇だ。昨年のV達成も、横浜スタジアムだった。原監督は「明日頑張ります」と淡々と、前を見据えた。主砲・2代目若大将が、そのバットで連敗を止め、チームに勝利をもたらす。そして歓喜の輪で、最高の笑顔を見せる。【栗田尚樹】