2年連続のセ界制覇を果たした巨人。宮本和知投手チーフコーチ(56)がリーグトップの防御率3・39(記録は30日終了現在)をマークし、優勝の原動力となった投手陣を取りまとめた。先発で思うように結果を残せず中継ぎに回った桜井や田口を「どちらもできるから、両刀遣いの宮本武蔵」と表現。左肘のコンディション不良を抱え涙ながらに続投を志願したメルセデスの思いに涙したこともあった。日々、言葉と行動で選手を励ましてきた。宮本流のマネジメントに迫った。
マネジメントには大切な2つの要素がある。1つ目は「ボキャブラリー」だと言う。
宮本コーチ 大事なのはボキャブラリーってところで、そのボキャブラリーを使って選手たちにやる気を起こさせること。マイナスなことは俺言わないと思うんだよね。やってくれるのはこの子たちだから。どうしたら気持ち良くマウンドに送れるのかってことしか考えてないから。
「我々は裏方。下から見上げる立場」と黒子に徹し、言葉で選手を支えた。
ただ単に、ポジティブな言葉を投げかけるわけではない。
宮本コーチ 人それぞれのカラーがあって、個性も顔も違うように、性格も違うから、それによって言葉も変えるし。まあ、桜井もそうなんだけど、結構言っても大丈夫とか。田口は上から言うとしょぼんとするとか。いろいろタイプがあるんでしょ。それは普段のコミュニケーションによって、相手を知ることから始まるから、相手を知ってこの選手はこういう言い方をすればいいなとか。それは常に考えていたよね。
親子ほど年の離れた選手とグラウンド内外で会話を楽しみ、人柄まで把握。性格にあった言葉のかけ方を意識した。
もう1つの大切な要素は「居場所を与えること」だと言う。
宮本コーチ 彼たちに自分の役割っていうのを1人ずつ教えてあげることだと思うんですよ。そこに何が出てくるかっていうと、責任っていうのが出てくるんですよ。居場所を与えたら、その選手に責任っていうのを与えられるんですよ。だから責任を果たしてほしい。役割分担をはっきりさせてあげることで、「こういう時は俺の仕事だな」って彼たちは理解してくれていた。だからおれがベンチからブルペンのモニターを見たとき、言わなくても必ずその子は動いてくれてる。それは村田善ちゃんがいるからというところだと思う。
大江が良い例だ。最初に与えられた役割は先発投手が早期に崩れた場合の2番手だったが、好投を続けると、中盤やピンチの場面での火消しを任されるまでになった。
宮本コーチ 居場所を全うできたから、もう1段上の場所を見つけたわけですよ。だからどんどんどんどん居場所は変化するし。役割果たしてくれたんで。(田中)豊樹も2番手から3番手に上がったんですよ。今じゃいいところでも投げられる。ビエイラもそう。みんなこう上がっていける。大竹寛ちゃんがケガした、中川皓太がケガしたってなったら、すすすっと鍵谷が寛ちゃんの代わりをして、皓太の代わりを高梨がしてってどんどんどんどん変わっていくよね。そういう流れっていうのができたのかなって思いますね。
成長を喜んだ。
97年の引退後タレントとして磨いた「ボキャブラリー」。「幸せになってほしいんだよね」と「子ども」を思う気持ち。この2つこそ、宮本流のマネジメントだった。【久永壮真】



