「大きな山賊」が新たに加わった。西武が15日、ドラフト1位指名した桐蔭横浜大・渡部健人内野手(21)との契約に合意した。横浜市内のホテルで会見に臨んだ渡部は「山川選手、中村剛也選手がいるので、そういった選手を超えられるように、スケールの大きな選手になれるように頑張っていきたい」。身長176センチ体重112キロ。希代のホームランアーチストに負けない巨体を揺らし、満面の笑みで西武の帽子をかぶった。

所沢という地には、大柄な素材をスラッガーに育てる豊かな土壌がある。中村と山川で8度の本塁打王を獲得。「大柄=動けない」という常識を覆し続けているのが、まさに西武だ。同席した潮崎編成ディレクターは「失敗を恐れないという風土が、我々の球団には備わっている。長打力、ホームランって、三振との表裏一体。三振するのを指摘しちゃうと、大きいのもどんどん出なくなっちゃうところで『三振してもいいから振ってこいよ』という風土は、うちの球団は持っている」。おかわり3世が開花する環境は整っている。

中村、山川との共存。渡部が加わって、西武しか組めない過去に類を見ないほど迫力ある打線に夢が膨らむ。渡部は「ダイヤモンド1周が気持ちいいので、今後ホームランにはこだわりたいなと思います」と怖がることなく宣言。潮崎ディレクターも「一塁、三塁、DHで3人が並んでくれたら。可能だと思いませんか?」と期待をふくらませた。

契約金、出来高を含む1億5000万円、年俸1600万円の満額(金額は推定)。手みやげに渡された山川のバットを手に、渡部は「重いなと思いました。いろいろな意味で重い」と実感した。中村、山川の系譜を道しるべに、バット片手にのし上がっていく。【栗田成芳】