中日ドラフト2位の日体大・森博人投手(22)がペンを手に取った。17日に横浜市内のホテルで入団交渉を行い、契約金8000万円、年俸1200万円で仮契約。色紙に1年目の目標を求められた。ペンは左手。え、左!? 最速155キロ右腕は「もともと左利きでした」と仰天の事実を明かした。

箸も左。他のスポーツも左。打つのは右。なぜか、野球だけ右だという。小1で野球を始めたが「気がついたら右で投げてました」と本人も経緯は分からない。ただ、この“ねじれ”が成長を促した。担当の小山スカウトは「投手にとって、グラブを持つ手の引きは大事。バランスも良くなる」と指摘。スリークオーターから繰り出す威力満点の155キロは、左利きのルーツが支えている。

「1軍定着」と記した色紙を掲げた。名古屋市の実家には、大事な色紙を保管してある。保育園児のころ、中日中里篤史投手(現巨人スコアラー)にもらったサイン。ナゴヤ球場へ観戦に行った際、リハビリ中の同投手がスタンドにいた。「すごい投手だぞ。サイン、もらってきなさい」と父に背中を押された。その時は誰か分からなかったが、プロ野球選手を意識するきっかけになった。勉強机に立て掛け、毎日、眺めた。「それからプロ野球選手に憧れて、目指そうと。これからは、自分もそういう選手になりたい」。まずは1軍定着。将来は、子どもに夢を与える投手へ。1歩を踏み出した。【古川真弥】(金額は推定)

◆森博人(もり・ひろと)1998年(平10)5月25日生まれ、愛知県出身。中学時代は名南ボーイズに所属。豊川高では2年夏に県大会ベスト4。日体大では今秋の首都リーグ最高殊勲選手。最速155キロで2種類のカットボールを使い分ける即戦力右腕。177センチ、80キロ。右投げ右打ち。