日刊スポーツ評論家陣がリレー形式で提言する「V奪回へのシナリオ」の第5回は、中西清起氏(58)が投手陣の整備に言及。藤浪晋太郎投手(26)の必須ノルマなど16年ぶりのリーグ制覇へ3つの条件を掲げた。

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阪神が来季優勝するためには、投手部門では3つの条件がある。

まず左の先発が必要だ。現状を見れば、先発ローテーションは西勇、青柳、秋山、高橋、藤浪の5人が挙がる。もう1枚、左腕がほしい。岩貞は今季のように先発、中継ぎの両方で対応できる。私がキーポイントに考えているのが、ドラフト2位で指名したJR東日本の伊藤将だ。春季キャンプである程度、先発即戦力としてのメドが立てば、岩貞をリリーフに回せる。能見が退団し、スアレスも残留するか固まっていない。伊藤将が1年目から使えなければ、先発、中継ぎのどちらかで左腕の駒不足が生じてしまう。

もう1つのポイントは、やはり藤浪だろう。今年はシーズン途中に中継ぎを経験し、引き出しを増やした。シーズン終盤の先発で変わり目を見せたが、来季は1年間ローテーションを守り、26試合前後を投げることが必須だ。ここ4年で9勝と結果を残せていない。来年はもう言い訳できないだろうし、ローテを守れなければ、再来年はないという背水の陣で臨まないといけない。首脳陣が我慢しないといけない部分もあるが、藤浪自身が我慢させられる内容を残せるかどうか。1年投げることができれば、おのずと数字はついてくる。腕が横振りになる悪癖をなくすという課題は変わらない。ボール自体が縦の回転になれば、空振りが取れる。

最後に挙げたいのが、セットアッパーを任せられるパワーピッチャーだ。近年は、安定したリリーフ陣で勝ちゲームを拾ってきた。昨年は守屋、島本らが6、7回やビハインドの展開で活躍したことが大きかったが、今年は望月や才木、小野といった若手投手に成長が見られなかった。リリーフ陣の力が明らかに落ちている。ガンケルも期待薄で、エドワーズもセットアッパーとして固定できるか分からない。スアレスを流出すれば、やりくりに苦労する。助っ人補強でパワーピッチャーを補うことができるかは重要な点で、さらに言えば、若手から中堅にかけての投手をレベルアップさせる必要がある。リリーフの力がないと、上位にはいけない。

守備力の向上は言うまでもない。投手に関しては、3つ条件をクリアできなければ、厳しい戦いが待っている。