来季の秘密兵器だ。広島ロベルト・コルニエル投手(25)が24日、みやざきフェニックスリーグDeNA戦に先発し、7回4安打1失点と好投した。

視察した佐々岡真司監督は「フィールディング、けん制などの基本的なことができる。球の力もあるので、楽しみ。育成選手ではありますけど、まずは1軍の春キャンプで見ていたい気持ちはある」と高評価した。内定こそ出さなかったものの、来春1軍キャンプ参加が濃厚となった。

昼間は半袖でも過ごせるほど暖かい宮崎の地で、ドミニカ人右腕は急成長した。今年9月29日に育成契約したばかり。ウエスタン・リーグ10試合登板はすべて中継ぎだった。シーズン1試合最長2回から、フェニックスリーグでは先発として登板。11月12日ヤクルト戦で初先発し、7回88球を投げ9安打されながら1失点。続く18日楽天戦は6回を2安打無失点に抑えた。最速も153キロから154キロと上がった。

3度目の先発となったこの日は、楠木や細川ら1軍経験者もいるDeNAにも最速154キロの直球主体に力で押した。カーブ、スライダー、永川コーチ直伝のスプリットを使いこなす。球速はコンスタントに150キロ前後を計測、変化球でカウントを整えることもできる。4回無死一塁では1・15秒のクイック投法で一塁走者森の盗塁刺をアシスト。5回の益子の一ゴロにはスタート良く一塁のベースカバーに入るなど、けん制や守備面に不安はない。

3試合連続の好投にも、コルニエルは試合後「体が早く開いて腕が体から遠くなってしまい、制球が難しかった。球が全体的に高かった。自分なりに修正できた部分はあった」と反省を忘れなかった。

厳しい自己評価にも、周囲の評価はうなぎ上りだ。試合中、スタンドで視察した他球団の編成からは「これは育成レベルじゃない」という驚嘆の声も漏れた。来季から1軍担当となる永川投手コーチは「今日が一番内容が良くなかったかもしれない。先発も中(継ぎ)もどっちでもできる。中日の(R・)マルティネスくらいになる期待は持てる」と今季21セーブの助っ人級の可能性を感じている。球団内外からの高評価が止まらない流れからも、来春1軍キャンプに連れて行かない理由はみつからない。

この日の登板を最後に、コルニエルは帰国準備のためチームを離れる。「コントロール良く、威圧感のある投手になりたい。理想の大瀬良さんのような投手になって、大瀬良さんを越えていきたい。1軍で活躍したい」。来年はジャパンドリームへの第1歩を踏み出すことが期待される。【前原淳】