スカしてないやん! 阪神井上一樹新ヘッドコーチ(49)が声を張り上げる虎ナインに目を細めた。29日に約2週間に及ぶ秋季練習が最終日を迎える。修練の秋を振り返り、同ヘッドは「『スカすな!』とか、『同じテンションで声を掛けろ!』というのが浸透してきたかな」とうなずいた。

秋の甲子園は熱血ワード連発だった。15日の初日には身ぶり手ぶりでチームへ訓示。「1つのチームになって頑張ろうぜっていうときにスカすな。スカしてる人間がいたらそれが害になる」とゲキを飛ばした。気取った態度はいらない。野球少年のように元気を出して盛り上がることも必要と説いた。

打撃コーチからヘッドコーチに肩書が変わり、投手の動きも敏感にチェックする。例に挙げたのは藤浪だ。一、三塁を想定したケースノックでは「藤浪が(三塁の)大山に『セーフティーあるよ』とか。そんなこと、今まで言ったことなかったことを言えるようになったことは進歩かな」と意識の変化を感じ取った。

日が落ちるまで声が響いた。練習の最後には野手陣が勢ぞろいしてロングティーを実施。「みんなここで決めてほしいというところでものすごくもろい。この1球しかないぞという中で決められるか」。1球限定で目標の着弾点を決めて狙い打ちするゲーム形式の練習も取り入れた。「スカすな指令」を出した井上ヘッドにとって、グラウンドのあちこちで上がる声がこの秋の収穫だ。【桝井聡】