原点回帰の直球磨き! 阪神高橋遥人投手(25)が28日、甲子園球場で取り組む秋季練習での収穫を語った。5勝4敗だった今季は最速152キロの直球をあえて減速した試合もあった。日本シリーズで見たソフトバンクのパワー系投手陣に刺激を受け、自信のある力強い直球の必要性を再認識し、磨き上げてきた。チームは29日に秋季練習を打ち上げる。

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シーズンを終えて気づいたのは、原点の大切さだった。甲子園での秋季練習も残り1日。高橋は約2週間の収穫に「直球」を挙げた。「真っすぐが絶対に大事というか、自分に何が一番自信があるかと言われたら、真っすぐ。もう1回、真っすぐをしっかり投げきれるようにいろいろやりました」。

今季は12試合に先発し5勝4敗。最速152キロながら、あえて直球を130キロ台中盤まで減速させた試合もあった。プロ初完投勝利を挙げた10月5日の巨人戦でのことだ。当時は「真っすぐが力を入れても全然良くなかった。真っすぐを良く見せるための真っすぐ」と理由を語っていた。「今思うと、苦し紛れでした。新しい自分というか、攻め方にはなったと思うんですけど、それがどこかもどかしい感じというか、何してるんだろうと思いながら投げていたこともあった」。1年の経験を通して、自分の武器を見つめ直した。

秋季練習では積極的にブルペンに入り、直球を重点的に投げ込んだ。「(今季)最後の5試合くらいは自分のボールを投げられないのに勝てたりして、複雑だったんです。ある程度自分で納得して、いいボールがいったと思えるボールも増えてきた」。厚みの出た投球の幅に、さらに磨き上がった直球が加われば鬼に金棒。好感触を持って来季へ向かうことが出来そうだ。

画面越しに見た日本シリーズも、直球の大切さを再確認するきっかけになった。第3戦で解説を務めた前侍ジャパン監督の小久保裕紀氏(49)が、ソフトバンク・ムーアの力強い球はセ・リーグなら高橋が近いと名前を挙げた。伝え聞いた左腕は「ソフトバンクは速い、強いボールを投げる投手が多い。見ている側もあこがれるし、すごいなって思いました。自分もそういうストレートを投げたいと思ってやっているので」。今オフも地元静岡で自主トレを行う予定で、肩肘を休まず動かしていく。最高峰の試合にも刺激を受け、来季はまた直球で打者を圧倒する。【磯綾乃】

・主な一問一答は、以下の通り。

-日本シリーズを見て直球の大切さを再確認した

高橋 そうですね。最近はそう投げられずに、自分の中でイメージができなくなっていた感じもあったので。それがここに来て、だんだん納得できるボールも出てきているので。ああいう方たちみたいなボールを投げられるように頑張りたいです。

-魅力がある

高橋 すごいですよね。あれだけ、押せ押せで少々甘くなっても打たれないので。僕はそこまでできないので、もっとトレーニングしなきゃなと思いました。

-矢野監督に続き、西勇も開幕投手を争ってほしいと、名指しした

高橋 2シーズン、昨年、今年とある程度投げさせてもらって、先輩投手はみんな抑えるじゃないですか。そういうのはすごく刺激になるので。みなさんに追いつけるようにいきたいです。

-オフの拠点は静岡

高橋 そうですね。静岡に帰ります。山とか田舎なので、肩を休ませないように。走れば肩も動くので。1月の年始までは。静岡で、お茶でも…(笑い)。