三菱重工広島(広島市)が敗れ、創部75年目の伝統あるチームの歴史に幕を下ろした。統合により、現チームで戦うのは今大会が最後となっていた。

序盤は優勢だった。1回2死、今大会限りでチームとともに引退する実政太一外野手(34=如水館)がソロ本塁打。「絶対打ってやるという気持ちで臨みました」。ベテランの一発で先制に成功したが、以降は沈黙。日本新薬(京都市)に3本塁打を浴び、敗れた。

それでも終盤には意地を見せた。9回、1死から連続で遊撃への内野安打。崖っぷちのチームが見せた粘りに東京ドームからは自然に手拍子が起こった。実政は「胸が高鳴るというか、武者震いがしました」。

実政は試合終了の瞬間をベンチから見届けた。「今日で終わりかという気持ち。今までの試合の中でもこの試合が一番印象に残ると思う。社会人としていろんなことを教えてもらって人間として成長させてもらった」と三菱重工広島での16年間を振り返った。

現役時代、広島や阪神でプレーした町田公二郎監督(50)は「一つ言えることは優勝できなかった、させられなかった。私の采配ミスだと思います」と悔しさをにじませた。それでも「いろいろな選手を指導することができて感謝しています。ここで頑張った気持ちを忘れず今後も頑張って欲しい」。引退する選手、移籍して今後も野球を続ける選手にエールを送った。【小早川宗一郎】

◆三菱重工広島 1946年創部。本拠地は広島市。都市対抗野球に17回出場。1979年に初出場初優勝。日本選手権にも17回出場しており最高成績は4強。主な出身プロ選手には元近鉄の礒部公一氏(46)やヤクルト大下佑馬投手(28)やソフトバンク杉山一樹投手(22)らがいる。