日本ハム杉谷拳士内野手(29)が11月30日、千葉・鎌ケ谷の2軍施設で会見し、今季初取得した海外フリーエージェント(FA)権を行使せず、残留することを表明した。

この日までに、1年契約で、500万円増の年俸3500万円で合意。改めて“生涯ハム”を宣言するとともに、来季加入が決まったロニー・ロドリゲス内野手(28=ブルワーズ)へライバル心を燃やし、ラップで対抗する珍目標を掲げる爆笑会見となった。(金額は推定)

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会見冒頭「杉谷拳士、海外FA権は行使しま…せんでした」と残留を表明した杉谷。入団13年目の来季へ向け、ライバルとして目を光らせたのは、ラッパーとしても活動する新助っ人だった。

球団は27日に新外国人のR・ロドリゲスの獲得を発表したばかり。オフにはラッパーとして活動する異色の内野手で、明るい性格もあって栗山監督はベンチの盛り上げ役としても期待。グラウンドでも内外野を守れるユーティリティー・プレーヤーと、杉谷の特性と重なる点が多く「負けていられない」とメラメラ。「本物のラッパーが来るぞ、と。僕が残留を決めようと思った次の日に、外国人を取っていた」と鼻息を荒くした。

プレーはもちろん、マイクを握って!? も負けるつもりはない。

杉谷 僕の思いをラップに乗せて、届けたい。日本人にも、こんなラッパーがいるんだぞと。最初のあいさつで「Hey、Yo」から始まって、英語を交えた自己紹介がてら。ロドリゲスに「とんでもない球団に来たな」と思ってもらえれば、こっちの勝ち。

残留交渉の席では、国内FA権を行使しなかった昨年同様、あらためて「日本ハム愛」を強くした。「コーチ、選手、さまざまな方から『早く出ていけよ』と言われましたけど、僕自身、出て行くつもりはありません」。入団テストを経て、帝京から08年ドラフト6位で入団。「ファイターズのユニホームを着て、体力が続く限り頑張りたい。化け物になりたい」と、意気込んだ。

今季序盤は打率4割超も記録するなど好調だったが、8月以降に失速。結局、2割2分1厘でフィニッシュした。「日本ハムなので、シャウエッセンのような、パリッとしたプレーでジュワッとした中身の濃いシーズンにしたいと思います」。親会社の商品名を交え、ドヤ顔で胸を張った。【中島宙恵】