鯉のレジェンドになるぞ! 広島ドラフト1位のトヨタ自動車・栗林良吏投手(24)が11月30日、名古屋市内のホテルで入団交渉に臨み、契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1600万円で仮契約を結んだ。背番号は球団を代表する投手だった北別府、永川が現役時代に背負った「20」に決定。将来的に「愛されて引退」する選手を目指し、プロの世界に飛び込む。(金額は推定)

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カープカラーの赤いネクタイを締めた栗林が、プロで背負うことが決まった「20」に心を躍らせた。名城大での4年間につけていた背番号で、愛着もある。「なかなかもらえる番号ではない。プレッシャーでしかないんですけど、それに勝ってこそのプロ野球選手だと思う。期待に応えて1年目から活躍したい気持ちでいっぱいです」と気を引き締めた。

広島の「20」は213勝の北別府学、165セーブの永川勝浩(1軍投手コーチ)と、ともに球団最多記録を持つ大先輩が背負ってきた番号。栗林は「(2人とも)チームの顔で、チームNO・1の成績を残して引退された。僕も何かチームで1番の成績を残して、引退できたら」と、大きな目標を描いた。

社会人では先発、中継ぎ、抑えと、それぞれ経験を積んだ。持ち場へのこだわりはない。「1軍で活躍できる場所をつかみ取って、先発なら10勝、リリーフだったら最優秀中継ぎを取れたら」。球団新人のセーブ記録は永川が持つ25で「抑えなら26セーブを目指したい」と笑った。

優勝を目指した都市対抗では、11月22日のセガサミー戦に先発。7回を投げ毎回の13奪三振も、2ラン1発を浴び、初戦で敗退した。1発に泣いた経験から「1回からマウンド降りるまで、全部の球がバランスよく、自分の思う球が投げられるように」と、敗戦翌日から自ら「弱点」とする体幹、バランスを重視したトレーニングを続けている。

栗林は同6日に引退試合を行ったトヨタ自動車の先輩、中日吉見の最後の勇姿をテレビで見届けた。「吉見さんみたいに、たくさんの人に応援されて、『まだいけるじゃないか』と言われる選手で引退するのが、一番目指すべき姿だと思う」と感慨深げに話し「1年でも長く現役でありたい」と理想を掲げた。

「たくさんの人に愛されて引退できるような野球人生を送りたい」。いつの日か背番号20を、“栗林色”に染める。【古財稜明】

▽広島松本スカウト(栗林について)「1年目から10勝を目指して、ローテーション1年間守ってもらって、森下くん以上の結果を期待しています。(背番号20だった)北別府さん、永川みたいに、チームを背負って立つ選手になってもらいたいと思います」

◆背番号メモ 広島の20番は、球団最多勝、球団最多セーブ投手が背負った伝統の背番号。黄金期のエース北別府学氏が、入団した76年から94年まで背負い、球団初の200勝となる213勝を記録した。引退後も、永川(来季から1軍投手コーチ)が入団する03年まで8年間空き番となったほど。受け継いだ永川も引退する19年まで背負い、165セーブを残した。

◆栗林良吏(くりばやし・りょうじ)1996年(平8)7月9日、愛知県生まれ。愛知黎明では2年秋まで内野手。最高成績は県大会準Vで甲子園出場なし。名城大では1年春からリーグ戦デビュー。3年春の中京大戦でノーヒットノーランを達成。3年時に大学日本代表に選出され日米大学野球、台北ユニバーシアードに出場。愛知大学リーグ通算32勝15敗。19年にトヨタ自動車入り。178センチ、83キロ。右投げ右打ち。