漫画「ドカベン」や「あぶさん」など野球マンガで知られる漫画家の水島新司さん(81)が引退することが1日、分かった。所属事務所が同日発表した。

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西武渡辺久信GM(55)が「ナベQVS岩鬼」の対決を懐かしんだ。引退を表明した漫画家水島新司さんの代表作「ドカベン」で、主人公の山田太郎とバッテリーを組んで、何度も登場した。「水島先生には本当に感謝しています。山田太郎が西武に入ってきたという縁もあって、私の中でも本当に大切な思い出になっています。自分自身も登場するのを楽しみにしていたし、すごくうれしかった」と、劇中の“現役時代”を振り返った。

「グワァラゴワガキーン」と、悪球打ちのダイエー岩鬼から何度も打たれるシーンが、名勝負の1つでもあった。すると当時、テレビで「打たれるはずがない」と主張する設定で、番組が企画された。その訴えが認められる形で、代わりに完全試合達成を劇中で描かれることになった。「あれはテレビの企画。実際は打たれるはずがないなんて思ってもなかったよ。自分が漫画に出てくるだけでうれしかったし。でも、本当にやっちゃったんだよ」。

その直後、現実世界の96年6月11日オリックス戦、ノーヒットノーランを達成。「ビックリだよね。試合中はとにかく必死で、まったく考えてはいなかったけどね」。ドカベンの神通力に驚きを隠せなかった。【栗田成芳】