広島森下が悲願のセ・リーグ新人王に輝いた。球団では14年大瀬良以来、10人目。「今シーズンに入った時から目標にしていた賞なので、取ることができてうれしいです」と喜んだ。

エース級の働きぶりだった。開幕から先発ローテーションの軸として、18試合に先発。チームトップの10勝(3敗)を挙げ、防御率はリーグ2位の1・91。新人で2桁勝利&防御率1点台は66年堀内(巨人)以来54年ぶりとなった。

恩師へ最高の形での恩返しとなった。母校・明大野球部の善波前監督は、大学時代にとどまらず、プロ入り後も全試合欠かさずにチェックし、助言を送り続けていた。12年間の監督生活最後の年の主将とエースを務めたのが森下だった。森下が3年時までは試合前のシートノックは監督が行っていた。しかし右腕が4年になったと同時にノックバットを学生コーチに託し、ブルペンに付きっきりで見守った。「大学のレベルで完成型に近いところには持っていきたかった」という善波氏の思いからだった。森下は「厳しく指導してもらえた。善波さんの下で野球ができてよかった」と新人王獲得で恩義に報いた。

来季に向けて右腕は「今年以上の成績を残せるようにしっかりやっていきたい」とさらなる飛躍を誓った。球界を代表する投手を目指し、歩みを続ける。【古財稜明】

◆森下暢仁(もりした・まさと)1997年(平9)8月25日、大分市生まれ。大分商では1年夏に甲子園ベンチ入り(登板なし)。3年夏にはU18W杯で10回を投げ無失点。明大ではリーグ通算15勝12敗。19年全日本大学選手権でMVP。大学日本代表には2年時から3年連続で選ばれ、17年ユニバーシアード優勝、18年ハーレム国際大会優勝。19年ドラフト1位で広島入団。180センチ、76キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1600万円。

 

【広島森下1年目の歩み】

◇6月21日 DeNA戦(横浜)でプロ初先発初登板。7回4安打無失点の好投も勝ち星つかず。

◇同28日 中日戦(ナゴヤドーム)で8回2/3を投げ3失点でプロ初勝利。

◇7月10日 コンディション不良で出場選手登録抹消。

◇7月23日 1軍復帰。

◇8月14日 阪神戦(京セラドーム大阪)でプロ初完投初完封勝利。

◇10月24日 DeNA戦(横浜)で9回1失点(自責点0)で2度目の完投勝利で、球団では97年黒田博樹以来、セ・リーグ5球団から白星達成。

◇11月1日 中日戦(ナゴヤドーム)で8回無失点と好投し、球団新人では14年大瀬良以来の2桁勝利。規定投球回到達の新人で2桁勝利と防御率1点台は66年堀内恒夫(巨人)以来の快挙。

◇11月18日 10、11月度の「大樹生命月間MVP賞」を受賞。球団新人では98年の小林幹英(4月度)以来22年ぶり。