ソフトバンク育成出身のスピードスター、周東佑京内野手(24)が、2021年にビッグな誓いを立てた。支配下選手となって3年目の今季、72盗塁を決めれば通算147盗塁。「世界の盗塁王」こと、元阪急の福本豊氏(73)がプロ3年目までに積み上げた146盗塁を超える。師匠の本多内野守備走塁コーチも70盗塁以上に太鼓判。周東も「挑戦したい」と気合十分の新春だ。

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夢物語ではない。ソフトバンク周東が「福本超え」に挑戦する。17年育成ドラフト2位で入団。19年に支配下選手となって、今年で3年目を迎える。19年は主に代走で25盗塁。シーズン途中から1番に定着した昨季は50盗塁をマークして、盗塁王の初タイトルも獲得した。ここ2年の通算は75盗塁。今年はさらなる高みを目指す。

福本氏は4年目の1972年(昭47)にシーズン106盗塁、通算でも1065盗塁をマークし、ともに日本記録を誇る。プロ1年目の69年から3年間の盗塁数は4、75、67で合計146。今季周東が72盗塁以上を決めれば、プロ3年の通算で「福本超え」となる。「偉大な福本さんなので、挑戦してみたいです」と言葉にも力が込もる。福本超えが実現すれば、福本氏が残した功績に近づき、追い越す期待が一段と高まる。

昨季は出場103試合で50盗塁をマークしたが、うちスタメン出場した78試合で48盗塁。単純にこのペースで今季も盗塁ができるなら、全143試合スタメン出場で88盗塁できることになる。

周東 自分の場合は、盗塁すること以上に、いかに出塁するかが重要。安打を多く打たないといけないし、打撃の調子が悪くても四球でもなんでも塁に出ることが大事だと思います。

盗塁、走塁の極意を伝授した本多内野守備走塁コーチも、周東の盗塁数アップに太鼓判を押す。「(今季は)60は軽々と超えますよ。65から70はいける。100は無理かもしれないけど、周東だったら、どこまで伸ばすか、楽しみですよね」。師匠の言葉も周東のチャレンジを後押しする。

「佑京(うきょう)」の名前は、元F1レーサーの片山右京氏が由来だ。「名前をつけてくれた父の願い通りの選手になっている自分に驚いてます。珍しい名前なんで、みんなに覚えてもらえるし、気に入ってます」。昨季は福本氏の持っていた日本記録11試合連続盗塁を超え、13試合連続盗塁の「世界記録」も樹立した。ホップ、ステップからのジャンプとなる今季、またも「福本超え」の金字塔で、令和のスピード王を襲名する。【浦田由紀夫】

◆シーズン70盗塁 これまでに9人が計14度達成。最初は50年の木塚忠助(南海)。福本豊(阪急)は70年代に5度達成しており、中でも72年の106盗塁は今も続く日本記録。近年はハードルが高くなっており、85年高橋慶彦(広島)を最後に達成者は出ていない。