ソフトバンク担当記者による随時連載「期待しタカ~」。21年はプロ16年目のベテラン松田宣浩内野手(37)の巻き返しに期待する。昨年は打率2割2分8厘、13本塁打など不本意な成績が並ぶシーズンになった。「ポスト松田」を期待する声も聞こえてくる中「熱男」は老け込むつもりはない。

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今年は何度「熱男~!」のコールを聞くことができるだろうか。昨年、悔しいシーズンに終わった松田が復活した姿を見せてくれると期待している。

20年は打率2割2分8厘。プロ1年目以来の低い数字で、規定打席に到達したシーズンでは自己ワースト。13本塁打も、近年では9本に終わった12年に次ぐ少なさだった。それでも、個人成績に関係なく変わらない姿をチームに見せていた。

昨年は14年からの連続試合出場が途切れ、ベンチスタートの試合もあった。途中交代も、以前より増えている。試合に出ていても、状態の上がらない時期は長かった。苦しいはずなのに松田は元気だった。三塁の守備位置から、ベンチから、大きな声がよく響いた1年だった。無観客、観客が入った後も歓声を上げられない状況で「この人はこんなに声を出していたのか」と実感させられた。

3年ぶりのリーグ優勝を決めた夜、松田は「個人的には今年ほど『チームが勝てばいいや。チームの結果がすべて』と思った年はない」と胸の内を明かした。連続試合出場についても「途切れたからこそ、チームのために何をするかということを考えた。いろいろ考えさせられる1年だった。ベンチから声を出す機会も多かったですし、すごく勉強させてもらった。まだ続いていたら、感じ方は違っていたと思う」と前向きに話した。

苦しんだシーズンの中でも、勝負どころの10月には月別で最高の打率2割7分1厘、5本塁打をマークした。栗原のコンバートプランもあり、若手ひしめく三塁争いにも「負けるつもりはない」と気合十分だ。挑戦をはねのけて三塁に立ち、再び輝く姿を想像している。【山本大地】