野球に全神経を注ぐ。日本ハム初の道産子1位ルーキー伊藤大海投手(23=苫小牧駒大)が6日、千葉・鎌ケ谷の「勇翔寮」に入寮した。故郷北海道を離れての寮生活に持ち込んだのは野球用具や寝具など、必要最低限の物のみ。裸一貫となって野球に全てを集中させ、プロの舞台で戦うための土台を築く。この日、新型コロナウイルス陽性と判定された育成2位の斉藤伸治投手(22=東京情報大)を除く、新人7選手が新生活をスタートした。

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キャリーバッグを携えた伊藤が、決意を固めて鎌ケ谷に乗り込んだ。「充実した環境に自らしてしまうと、だれてしまうかなというのがある。あくまでも北海道で頑張りたいというのがあるので、そこに向けて自分で追い込んでいこうかなと思う」。ここは1軍の舞台で活躍するための土台作りの場。野球に全ての神経を注ぐため、寮の部屋を充実させるつもりはなかった。

裸一貫ともいえる入寮だった。持ち込んだのは大学4年から愛用するマットレスと枕の寝具に野球用具、トレーニング関連の本など野球に関するもののみ。私服も持ち込まなかった。「あまり部屋で何かするタイプでもないので。こっちにあまりいい環境を作らないようにあえて自分に厳しく、テレビとかも何も置かずにと考えている」。すべては野球に集中するためにという理由からだ。

新人合同自主トレを見据え、故郷の鹿部町で元日から体を動かした。大の趣味である釣りにも出かけた。「今までで一番いいくらい」と、年始めの釣りでは、過去最大クラスとなる50センチほどの丸々と太ったアブラコ(アイナメ)を釣り上げた。例年以上の大物に21年シーズンは上々のスタートとなった。

一方、おみくじでは苦労した。例年のように地元神社でおみくじを引いた。この数年は大吉続きだったのだが…。「なかなか大吉が出なくて、14回引いたんですけど。自らいい方に持っていきました」と笑顔で明かした。「自分で道を切り開こうと思います」。高校、大学と汗を流してきた苫小牧から場所を鎌ケ谷にして鍛錬する。「ずっと長く北海道にいたのでちょっと寂しい気持ちもあったんですけど、いよいよ始まるぞという気持ちで入ってきたので、これから頑張っていきたい」。輝く未来へ、足元を見つめながらプロでの歩みを進めていく。【山崎純一】