今秋ドラフト候補で天理大の最速145キロ左腕・井奥勘太投手(3年=立正大淞南)が10日、同大学での練習後、今季に向けて「全勝を目標にチームのエースと言われるようになりたい。日本一を狙えるんじゃないかと思うので引っ張っていきたい」と決意をにじませた。

レジェンドの教え子でもある。桃山台中時代、阪神の62年リーグ優勝に貢献し、球団史上最高の二塁手とされる鎌田実氏(19年死去)が監督を務めた「KBAカマタベースボールアカデミー」に所属した。中3春に加入してすぐに「井奥の持っているカーブは通用するからそれを武器にしなさい」と太鼓判を押された。曲がり幅の大きな軌道が特徴で、以来、井奥は握りを変えたことはない。現在は鋭角なクロスファイアを売りにし、その投球術を支えているのが「お守り的存在」のカーブだ。1年秋からベンチ入りし、1学年上の広島森浦らと先発を担い、ここまで通算5勝を積み重ねた。

昨夏、阪神とのプロアマ交流戦に2番手で登板し、右打者の井上を直球で空振り三振に斬るなど、3回を1安打無失点に抑え、3三振を奪った。昨年11月には侍ジャパン大学候補(新型コロナの影響で合宿は中止)に投手として関西圏から唯一選出されるなど、着実に名を挙げている。

2枚看板を形成する右腕の牛島樹投手(3年=専大玉名)とともにプロ注目の存在で、ドラフト指名されれば19年の石原、20年の森浦(ともに広島)と天理大から3年連続となる。進路は今後検討を重ねていくが、井奥は「プロに入るのを最終目標にしてきました」と設定する。「(牛島と)一緒にプロに行けたらなとは思います」。互いを「戦友」と認める相棒とともに、21年チームを先導する。【望月千草】

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◆井奥勘太(いおく・かんた)1999年(平11)11月30日、神戸市出身。年長で鵯台(ひよどりだい)ライオンズで野球を始め、下畑台小では花谷少年野球部に所属。桃山台中ではKBAカマタベースボールアカデミーでプレー。立正大淞南では2年秋からベンチ入りし、エースナンバーを背負った。天理大では1年秋からベンチ入り。172センチ、72キロ。左投げ左打ち。