巨人が提案したDH制がまたも否決された。セ・リーグは19日、理事会を開き、巨人から今季暫定的にDH制を導入することが昨年12月に続き提案されたが、他球団が反対し、同案は見送られた。関係者によると外国人の新規入国の遅れからゲームの質の低下を懸念し、選手の負担軽減のため公式戦序盤でのDH導入を訴えられた。だが議論は深まらず、具体的な対案もないまま、発展性のない“現状維持”となった。

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何も変わらなかった。巨人が昨年12月の理事会で山口オーナーの文書で提案したDH制の21年シーズンの暫定導入はまたも、他の5球団が取り合わなかった。議論の進展が感じられない時間が流れ、多数決で“現状維持”に収まった。

関係者によると、巨人は新型コロナウイルスの感染急拡大で政府の方針により、外国人の新規入国がストップとなり、リーグで20人を超える外国人選手の来日の見通しが立っていないと指摘。調整に影響が出る可能性があり、公式戦序盤の戦力低下や、ファンのためにゲームの質を保てないことが懸念され、限定的なDH制導入を提案した。開幕からホーム、ビジター各5カードの1クール約30試合、さらに入国が大幅に遅れた場合は交流戦を含めたホーム、ビジター各10カードの約70試合の限定導入を訴えたという。

だが主張は空転に終わらされた。「日本人の奮起に期待する」「緊急事態宣言がいつ解除するか分からない中で、この議論は避けたい」などと、議論は最後まで、かみ合わなかったという。だからと言って他球団からコロナ禍での本格的な対案も挙がらなかった模様だ。出場登録選手を32人、ベンチ入りを27人と1人増を挙げた球団もあったというが、決を採るわけでもなかった。

今後も不測の事態が起こり得るため、緊急時にはさまざまなことを検討することは確認された。だが一向に溝は埋まらず、逆に深まるばかり。コロナ禍とは一線を引いても、選手、ファンの多くはDH制を望む声は多い。セ・リーグの未来が色あせて見える。【広重竜太郎】