震災から10年、勇気を再び-。楽天ドラフト1位の早川隆久投手(22=早大)ら新人7選手が21日、東日本大震災で甚大な被害を受けた宮城・名取市の閖上(ゆりあげ)地区を訪問した。

震災復興伝承館で当時の状況や復興の歩みを映像や資料で学び、震災メモリアル公園で慰霊碑に献花。当時小6で出身地の千葉・横芝光町で被災した左腕は「心を締め付けられる」と話し、東北に再び優勝をもたらすことを誓った。新人の被災地訪問は8年連続の8度目となる。

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震災復興伝承館で避難所の写真を目にした早川が、足を止めた。「心を締め付けられるような感じがあった。自分も実際に体育館に避難して、一夜ではあるんですけど、こういう経験をしたからこそ、被災地の方々の思いが分かるということもある」。

下校中に被災した当時の記憶は強く残っている。いとこに助けられて避難し、小学校の避難所で一夜を明かした。実家は海の目の前で床下浸水し、近隣の堤防も崩れた。「津波の被害は受けなかったけど、もしそのまま家に帰っていたら状況が変わっていたと考えるとゾッとします」と振り返る。

震災から10年という節目にルーキーとしてプレーする。「自分が東北に来て、もう1度、優勝するという使命を持ってプレーできる。しっかりプロ野球選手としての自覚を持ちながら、今後の日々の生活を送っていければ」。震災の恐ろしさも経験した分、野球の持つ力も信じている。この日、当時の状況を説明してくれた閖上小・中学校の八森校長から、13年の優勝が東北の人々に多くの勇気をもたらしたことを聞いた。「自分も2013年の優勝を見ていて、スポーツが地域の方々に与える力はものすごく大きいなとあらためて感じた。自分たちも勇気や元気をもう1度、与えられれば」と力強く話した。

チームでは銀次らが被災地支援を続けており、球団としても多くの取り組みを行っている。新世代を担う左腕は「東日本大震災は忘れてはいけないことだと思いますし。このような被災地訪問は毎年、行うべきかなと思います」と言及。さらには「他の被災地も訪問して、自分の頑張る糧というか、元気を与える源になっていければなと思いました」。被災地への思いを胸に刻み、8年ぶりの歓喜をもたらす。【鈴木正章】

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