無観客は残念無念だけど…すべての野球好きが胸躍る球春到来は近い。スタッフ会議の巨人、若駒が躍動のヤクルト、スローガン発表の日本ハム。担当記者がキャンプ見どころを送る。

  ◇   ◇   ◇

【巨人】

ウィズコロナのキャンプ、見どころはここだ! 無観客で迎える巨人春季キャンプ。現地での観戦ができないからこそ、ステイホームでキャンプを味わいつくそう。

報道各局が工夫を凝らして選手の姿を届ける。例年、日テレジータスでキャンプ中継をする日本テレビは選手の動きを網羅する。今年は1軍本隊の宮崎だけでなく、東京ドームでスタートするS班のキャンプの映像も番組内で放送できるように調整中。主力のチェックも欠かせない。

午前11時から午後3時の放送時間内に、両グラウンドから届いた映像をピックアップして放送する。15年ぶりに巨人のユニホームに袖を通して指導者デビューを飾る桑田真澄投手チーフコーチ補佐(52)の動向を中心に、球場に来られないファンのニーズに応える。ジャイアンツLIVEストリームでも生配信する予定だ。

昨年のキャンプ初日には、12球団最多の2万3000人が宮崎総合運動公園を訪れた。今年も宮崎には沖縄2次キャンプ行きを狙う若手が多数いる。初勝利を狙う横川をはじめ、昨季ブレークを果たした松原らも必死のアピールが求められ、原監督も名物「原タワー」から目を光らせている。

球場に行かなくとも、球団もユーチューブを含めたSNSで動画を配信予定。約1200キロ離れた東京ドームと宮崎の情報がどんどん届く。暖房の効いたおうちの中から、家族みんなで野球を楽しもう。【久永壮真】

 

【ヤクルト】

今年のヤクルト1軍キャンプは、熾烈(しれつ)なサバイバルの場となる。2年連続最下位から巻き返しへ、高津監督は「絶対的に競争させる。いいやつが残っていくのがこの世界。全員で競争して、全員で少ない枠を取りにいってほしい」ときっぱりと話した。

投手陣は22人。先発ローテーション6枠を争う。奥川、寺島、高橋、金久保ら若手も多数が1軍入り。ルーキーからはドラフト1位の木沢と2位山野が名を連ねた。フレッシュなメンバーがどれだけ割って入れるか。指揮官は「本当にギリギリのところで、みんなが少しのチャンスを大きな成功として捉えようと思ってくれる環境をつくりたい」と予告した。

野手は遊撃手が激戦区。昨季定位置にしていたエスコバーが退団。ドラフト4位元山が、宮本慎也氏以来の背番号「6」を託されたことは、期待の証拠。西浦、広岡と争う形となる。

高津監督は現役時代4度の日本一を経験。黄金期と現在を比べ、競争意識が「薄れているとは言わないが、もっと激しくやってほしい。目の色を変えて」と訴える。「口に出すか出さないかは別にしても、分かりやすく同じ土俵にいるよというのを分からせるのも必要かも」。仲間であっても、バチバチと高め合うチームになることを期待した。【湯本勝大】

 

【日本ハム】

日本ハムの春季キャンプは原点回帰の競争がテーマとなる。

1軍メンバーには、次世代を担う若手が続々と名を連ねた。清宮を筆頭に、昨季ブレークの兆しを見せた野村。昨季は未勝利に終わったが本格覚醒に期待がかかる吉田など、初の1軍スタートは12選手と全体の3分の1を占める。栗山監督は「その辺の選手は大勝負でしょ。今年に関しては最初から全力でいきますよ、競争をしますよというイメージ」。ガツガツした若手のアピール合戦に期待がかかる。

競争に拍車を掛ける存在が、1軍メンバーに抜てきされた大学・社会人出身のドラフト1位伊藤大海投手(23=苫小牧駒大)らのルーキーカルテットだ。栗山監督はこれまで、新人にはゆっくりとプロの水に慣れさせることが多かったが、方針を転換。「中心になっている選手たちのレベルをもっと上げるには、そこに原石たちが入っていけば(中心選手も)こいつらヤバいなと思う。そういうことが選手にとって一番」と力説。即戦力新人の動向が、巻き返しを図るチームの底上げにどうつながるのか。注目ポイントだ。

そして、栗山監督の覚悟がキャンプ中から見られるか。「今年は前提として、こっちは本当に勝負にいくから、何かを我慢している状況ではない。それは選手も分かっていると思う」と結果重視で選手の見極めを行う方針。厳しさも押し出す指揮官が、どうマネジメントしていくのかも楽しみだ。【木下大輔】