「枝キャノン」で立ち向かう! 阪神ドラフト4位の栄枝裕貴捕手(22=立命大)が23日、甲子園室内練習場などで新人合同自主トレに参加後、オンライン取材でセールスポイントのアピールを誓った。2月は梅野、坂本、原口と並んで1軍沖縄キャンプメンバー入り。12球団を見渡してもハイレベルな1軍捕手枠争いに割って入るため、キャンプ序盤から「強肩発動」をもくろむ。

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ライバルには強敵がそろう。12球団屈指の強肩「梅バズーカ」、類いまれなブロッキング能力を誇る梅野。パドレス・ダルビッシュも認めたフレーミング、リードに定評がある坂本。勝負強い打力に秀でた原口。競争の厳しさを理解しているルーキー栄枝に、南国沖縄の日差しを楽しんでいる余裕はない。1軍生き残りを懸けるキャンプ序盤。早々に自慢の強肩をフル稼働させる覚悟だ。

「やっぱり自分の代名詞じゃないですけど、僕の一番の強みは二塁送球だったり、肩の強さだと思っています。そこは先輩のお三方にも負けたくない」

大学時代は二塁送球1秒8の強肩で名をはせ、「枝キャノン」の異名を定着させた。12球団の中でも捕手層が厚い虎で存在感を示すには、出し惜しみは禁物だ。例年、1軍キャンプでは序盤の午前中から盗塁練習が組まれる。プロ1年目から2年連続盗塁王に輝いている近本らとの対決も実現する。「そこ(肩)が一番自分が光るポイントじゃないかと思う。できる限り全力で、一番見せていけたら」。第1関門突破へ、早くも気合をみなぎらせる。

プロ初キャンプに向けて、準備は抜かりない。各投手の球種、球速はYouTubeで下調べ済み。ブルペンでのイメージトレーニングを続けている。今春は新型コロナウイルス感染拡大の影響もあって、選手間でもグラウンド外でのコミュニケーションは取りづらい状況。それでも「ブルペンで積極的に話しかけていきます。あとはアップとかちょっと時間のある時に少しでもお話して…」と貪欲だ。

立場は即戦力捕手。1年目から勝負を懸ける上で、できることは何でもする。もちろん、最大の武器はその右肩だ。仮に強肩で梅野と張り合うことが出来れば、一気に注目度は高まる。「どんどん(肩を)見せていけたらと思います」。甲斐キャノン、梅バズーカに続くは枝キャノンか枝ビームか!? 1軍捕手争いのダークホースからも目が離せない。【佐井陽介】

○…栄枝は左腕高橋に「ラブコール」を送った。ブルペンで受けてみたい投手を問われると、高橋と回答。「直球に、打者の手元でも球速が落ちていないぐらいの伸びを感じる。テレビ番組で、なかなか『速い』と言わない鳥谷さんが遥人さんの球を『速い』と言っていた話を見た。早く体験してみたい」と目を輝かせた。

▼盗塁阻止率の52年以降の最高は、ヤクルト古田が93年に記録した6割4分4厘。昨季のセ・リーグで捕手としての規定試合数(60試合)に達したうちの1位は木下拓(中日)の4割5分5厘。阪神では梅野が3割3分3厘で、リーグ内では4位だった。