広島森下暢仁投手(23)が6日、米大リーグ・ツインズ前田健太から伝授されたスライダーとツーシームを初披露した。

沖縄・コザしんきんスタジアムで行われている春季キャンプの第2クール初日に3度目のブルペン入り。持ち球に加え、新球種2種類を数球ずつ試投した。今クール中の9日にもフリー打撃の投手を務める見込み。新人王右腕が2年目の進化へ、新たな武器の完全習得を目指す。

   ◇   ◇   ◇

森下が捕手に向かい、ボールを持つ右手を胸付近で右から左へ大きく横に動かすジェスチャーをみせた。石原に投げたボールは、大きく横に曲がり、ミットに収まった。習得中の新球、スライダーを試しに5球程度投げたという右腕は「全然だめだった」と苦笑い。完成度については「0%です」と、まだまだ試作段階の途中だ。

かつて同じ「18」を背負った前田健太から新球を伝授された。1月に沖縄で鈴木誠らと自主トレを行った際に、同場所で別グループで練習していた大先輩と一緒に練習する機会があり、スライダーの握り方、投げ方を教わったという。右腕は「三振を取りたい」という目的から、完全習得を目指している。理想の軌道について「カットボール以上には曲がってほしいという感じ」とイメージする。

同じくマエケン直伝のツーシームも3球程度試投した。野球人生で初挑戦というもう1つの新球について「インコースの中で幅が広がるかなとずっと思っていた」と意図を明かした。2球種ともにまだまだ完成度は低く、「もう少し遊び感覚で、キャッチボールなどでイメージしながらやっていきたい」と力を込めた。

森下の新球を後ろから見守った佐々岡監督はスライダーについて「曲がりもよかった」と評価する一方、「曲げようとしてフォームもずれるところもある」と指摘した。自身のスライダーの握りや投げ方も助言したという指揮官は「今のままで十分だとは思いますけど、やっぱり研究もされるだろうし。プラスになる方が多いと思うので、しっかり投げられるように練習でやっていかないといけない」と今後に期待した。

まだ試投段階だが、右腕に一切の焦りはない。「後々のことを考えて。野球をやる上で必要になってくる時が来たら」と習得を来季へ持ち越す可能性もある。今キャンプのテーマはあくまで持ち球の直球、カーブ、カットボール、チェンジアップの精度向上に重きを置く。新たな武器が加われば、さらなる脅威を与えるに違いない。【古財稜明】