巨人は今年の春季キャンプを4カ所で分散して実施している。坂本や菅野ら主力とベテランはS班として那覇で調整中で、宮崎の1軍と2軍は若手が中心。原辰徳監督(62)と阿部慎之助2軍監督(41)は、「鉄は熱いうちに打て」との言葉を用いて「鉄」と表現する伸び盛りの若い選手に、どんなアプローチをしているのか。2人の指揮官の「心の操縦法」に潜入した。
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キャッチャーミットの捕球音に続いて、原監督の声が響いた。「グッドボール!」。第2クール2日目の、1軍ブルペン。視線の先には3年目の高橋がいた。昨季1勝に終わった18年ドラフト1位が、先発ローテーション入りを目指して左腕を思い切り振っていた。指揮官の言葉を耳にした高橋の表情が少し和らぐ。視察を終えてブルペンを出ると「見てるよ、孤独じゃないよ、と。喜ぶからね」と優しい笑みを浮かべた。
今キャンプも精力的に動き、気さくに声を掛ける姿が目立つ。高卒新人との年齢差は44。「彼らから見ると俺のこと、おじいちゃんだからさ。お父さんよりも年が上かもしれないね」と笑いつつ、2日にはドラフト3位中山のバットを手に取って助言を送っていた。
目配り、気配り、心配りに加えて、原監督には「言葉配り」がある。主力やベテランはS班として、15日の1軍合流まで沖縄でキャンプを送っている。宮崎の1軍は若手が中心。当然練習の強度は上がる。密度の濃い練習による疲労が出てきているのは否めない。
そんな中でも、若手選手はまずは沖縄行きの切符を目指して声を出してアピールし、ユニホームを土で汚しながらこの日も白球を追った。原監督は室内練習場を皮切りに2軍のブルペン投球とシートノック、1軍ブルペン、1軍のメインスタジアムと軽快に足を運び、可能な限りの視線と言葉を送っていた。「(各グラウンドが)近いからね」と笑い飛ばすが「できればみんなに声をかけようとね」との信念がある。「見てもらえている」という安心感と緊張感が各選手に芽生え、エネルギーとなり、練習に好ムードを生んでいる。
「1、2軍とも元気がいいですね」。そう聞かれた原監督は「ありがとう! その言葉を、11月にも聞きたいね」と笑った。実りの秋へ、宮崎で情熱の種をまいている。【浜本卓也】



