広島ドラフト3位の大道温貴投手(22=八戸学院大)と同2位の森浦大輔投手(22=天理大)の新人2投手が、シート打撃に初登板した。大道は最速146キロの直球を中心に力で押して打者5人を1安打2三振。鈴木誠ら好調な打者を抑え込んだ。技巧派左腕の森浦も持ち味を発揮。調整の段階を上げた新人2投手が開幕1軍争いをかき回す。

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新人2投手が名刺代わりの投球を披露した。ドラフト3位の大道は初球から146キロを計測するなど、力強い球で鈴木誠を抑えるなど高評価を得た。同2位森浦は変化球を多投し、投球テンポを工夫する持ち味を発揮した。プロで初競演した力投派右腕と技巧派左腕が、広島の開幕1軍争いを刺激する。

佐々岡監督と河田ヘッドコーチがバックネット裏から見つめる中、大道がマウンドに上がった。「ストライクゾーンに投げ込むことを意識した。アピールする場なので、腕を振っていかないと話にならない」。前日7日のシート打撃で3安打1打点の新外国人、ケビン・クロン内野手(27=ダイヤモンドバックス)は直球で追い込み、外角スライダーで空を切らせた。続く主砲の鈴木誠にも真っすぐで押して二ゴロ。最後は正随をスプリットで空振り三振に切った。打者5人に1安打2三振の好結果を残した。

大道は4日のフリー打撃登板でバットをへし折り、7日のスチール練習では1秒2を切るクイック投法を披露。「手を抜いていられない立場」と危機感を胸に、アピールを続ける。佐々岡監督は「短いイニングの方が適性があるかなと思った。面白いと思ったし、いい悩みになる。薄い中継ぎを厚くするためにも必要かなと思う」とリリーフ候補として高評価した。

森浦は対照的に、100キロ台のカーブなど変化球を多く織り交ぜた。セットポジションでの静止時間の長さを変えたり、足を上げる速度を変えたり、首の動きを使ったりと打者との間合いでも勝負した。打者4人に無安打1四球も「変化球は良かったと思うんですけど、真っすぐをインコースに投げ切れていなかったので、しっかり修正していきたい」と課題を挙げた。

首脳陣の森浦評は本人の自己評価と同様に、直球の質向上を求めるものだった。初の実戦形式の登板は評価は明暗が分かれる形となったが、投手陣立て直しへ即戦力投手にかかる期待は大きい。チーム内競争も、プロとしての戦いも、始まったばかりだ。【前原淳】

▽広島横山投手コーチ「(大道は)投げっぷりがいい。その上で四球も出していない。非常にいいアピールをしてくれた。(森浦は)真っすぐがもう少し。ゾーンの中で勝負できないと。(もちろん)2人とも楽しみ」