ビッグスケールな夢を放物線に乗せた。オリックス紅林弘太郎内野手(19)が、紅白戦で「チーム1号」を放った。

「良い打球でした。変化球をケアして(ガツンと)食らいつけた。外構えの内に入ってきた真っすぐ」

一振りで仕留めた。紅組の「3番遊撃」で出場し、初回無死一、二塁。カウント1-2からの4球目、内角145キロ直球を振り抜いた。打球が左翼席に突き刺さるのを確認すると、思わず照れた。「試行錯誤しながら、まだまだ途中の段階ですけど、結果として出てきているので、状態は悪くない」。高卒2年目の進化をアピールした。

追いかける背中がある。「メジャーのミゲル・カブレラ選手、知ってますか? 僕の完成形です。(MLB現役唯一の)3冠王。シンプルに強い打撃を意識してます」。昨オフに「長打が自分の長所だと思った」と、打撃フォーム改良を決めた。「憧れに近づくために」とMLB通算487本を誇る「教科書」をまねた。新打撃フォームには「結構、威圧感があっていいかなと」と高卒2年目はマスク越しに笑う。パワー向上には「今、95キロです。(入団から)11キロ増えました。1日4食。朝いっぱい食べます。鶏肉をめっちゃ食べます。(宮崎では焼き鳥店の)丸万でテークアウトしてます」と箸を休ませない。

中嶋監督は「なんちゃって中田翔みたいでね。『構え、おかしいよ』と言ったら、鏡を見て『あれ? 格好悪い…』って笑ってたよ」と冗談交じりに背中を押す。19歳スラッガーが「どこかで(壁に)ぶつかったときに、答えはこっちで用意する」と挑戦を後押しする。

紅林は今キャンプ、置きティーではゾーンを高めいっぱいに設定。「インハイを内から(左)肘を抜いて、バットを(下向きに)縦から抜く」と意識。この日の1発が未来への道しるべになる。次なるステップは「逆方向にもスタンドインできるように」と頼もしい。愛称はベニー。メジャー級のプレーヤーになる。【真柴健】

◆紅林弘太郎(くればやし・こうたろう)2002年(平14)2月7日、静岡県生まれ。駿河総合では1年夏からクリーンアップを担い、高校通算40本塁打。19年ドラフト2位でオリックス入団。昨季11月3日楽天戦で放ったプロ初安打は、球団では89年高嶋徹以来の高卒新人初打席安打。11月6日の日本ハム戦では5回に決勝タイムリーを放ち、同期入団の宮城に勝ち星をプレゼントした。186センチ、94キロ。右投げ右打ち。

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