フルタが受け、ヤマダが立った。ヤクルトの2年目右腕、奥川恭伸投手(19)が10日、沖縄・浦添キャンプで4度目のブルペン投球を行った。これまでで最多の71球のうち、最初の25球は古田敦也臨時コーチ(55)が女房役を務め、その後打席に“乱入”した山田哲人内野手(28)にも18球を投げ込んだ。豪華すぎるダブル授業を、早ければ2月末にも予定される実戦登板に生かす。

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「真っすぐお願いします!」。“対山田哲人”に奥川の右腕は明らかにギアを上げた。真っすぐがアウトロー、ビタビタに決まる。「う~わ、めっちゃいい」と山田が声を漏らすほど。そこからスライダー2球、フォーク1球を交え、しっかりタイミングを取りながら構えたバットマンに向かって18球、攻めた。

直球は140キロ台中盤を計測。投げ終わりには打者目線で技術的な助言をもらった。「普段バッターの声を聞くことはない。投手目線とは全然違うんだなと。打者と対戦するので、打者の声は大事。すごく勉強になりました」と引き出しを増やした。

直前には古田臨時コーチに25球を受けてもらった。同コーチは「予想よりいい球が来ていた」とうなずき、物おじせず山田の内角をえぐる姿に「自信がないとそこは投げられない。さすが」と称賛。「前回(巨人)菅野のような投手なってほしいと言ったけど、本人は(楽天)田中マー君を目指してるみたいだから、ぜひマー君みたいな投手になってほしい」と、改めて背中を押した。

古田コーチが受け、高津監督が見守り、山田が立った。奥川は「おこがましくて(受けてと)言えない」と古田コーチに遠慮していた。それを前日、小川と組んだ同コーチが「今のエースを受けたから、次は未来のエースを受けるか」と誘ってくれた。山田はブルペン横を通り掛かった際、奥川を見つけると笑みを浮かべて、そのままふらっと打席に入っていった。

豪華授業は、一流たちの粋な心遣いで実現した。高津監督は「必ず彼を成長させなきゃいけないし、必ず彼を勝てる投手にしなきゃいけない」と言った。2年目の春は順調に進む。キャンプ終盤には試合かシート打撃か、打者に対して投げさせるプランを組んでいる。奥川は「(山田は)構えだけでも打たれそうだった。これからそういうバッターを抑えていかなきゃいけない」。教わったことを力に変えて、チームに還元する。【鎌田良美】

▽ヤクルト山田(奥川の打者役を買って出て)「バッター目線で感じたことを伝えた。俺はこういう球を使われたら嫌だよと。(コンビネーション)というより、こういう球があると打者は嫌がると思うって感じのこと」

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