生き残った! 高卒2年目の阪神西純矢投手(19)が事実上、残り1枠となった開幕ローテ入りの可能性を残した。今季初の甲子園ゲームとなった広島とのオープン戦に先発し、5回6安打4失点と踏ん張って「1軍初勝利」を挙げた。5番クロンに満塁本塁打を浴びたが、矢野燿大監督(52)は「もうちょっと見てみたい」と追試を明言。虎の将来を担う右腕が、最後の枠に滑り込む。

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創志学園(岡山)時代に甲子園をガッツポーズで沸かせた右腕が、マウンドで雄たけびを上げた。5回2死二、三塁。3回に満塁弾を食らった5番クロンを空振り三振。フルカウントからの狙い通りに7球目スライダーを外角低めに決めると白木のバットはクルリと回った。粘り腰の5回6安打4失点。課題と収穫がない交ぜとなり、西純は「収穫点は、何回かピンチがあったんですけど、粘って投げられたというところは良かった。ああいう内容でしたけど、5回の最後まで投げられたのは良かった」と遠慮気味に振り返った。

今季初めてとなる本拠地ゲームは5131人の観客が集まった。西純にとっては昨年6月24日のウエスタン・リーグ、オリックス戦で中継ぎ登板して「プロ初勝利」を挙げて以来、1軍では初の甲子園マウンド。3回は2死から菊池涼に左前打を許すと2者連続四球で塁を埋めてしまい、最後はクロンに左翼席へ運ばれた。それでも4回には長野、堂林、中村奨を3者凡退と負けん気を発揮。「やっぱり球界を代表するような強打者」と意識した鈴木誠からは2三振を奪った。

マウンドを降りた西純を矢野監督が呼び寄せた。細かく投球を振り返る「青空教室」は数分間。指揮官は「5個言ったうちの1個でも残れば次の課題としてやっていけると思うので。俺の中でこうじゃないかという課題とかっていうのは伝えていってる」と講義内容を説明した。今季初対外試合となった2月9日の日本ハム戦(宜野座)では“開幕投手”に指名。急成長を遂げる19歳に期待度も高まる。

開幕ローテの可能性も残された。開幕まで3週間を切ったが矢野監督は「今のこのプロの年数からして成長はかなりしていると思う。もうちょっと見てみたい」とうなずいた。開幕投手藤浪が正式に決定。そのヤクルト戦は青柳、秋山と続き、2カード目の広島戦は西勇、チェンの順番でマウンドに上がる見込み。残されたあと1枠を西純や伊藤将、ガンケルらで争う構図だ。西純は「最後の最後まであきらめずそこに食らいついていきたいなと思います」と爽やかに決意を示した。プロ0勝の19歳が開幕ローテへ。虎党がロマンを抱くストーリーはまだ続く。【桝井聡】

▽阪神桑原(1軍に合流して8回に登板、2四球ながら1回無失点)「四球で自分でピンチを作ってしまいましたが、野手に助けてもらってゼロで抑えることができました。次回の登板ではこういう展開にならないように、しっかり準備していきます」

▽阪神加治屋(最終回に完全投球でオープン戦2セーブ目)「タイガースに来て初めての甲子園での登板だったので、少し緊張感のある中で試合に入りましたが、自分の思っている以上に投げやすい球場でした。タイガースファンのみなさんの前で良いパフォーマンスができて、良かったです」