「3・26」の開幕投手12人が決まった。ロッテは二木康太投手(25)が抜てきされた。

球界では無名といえる鹿児島情報高から13年ドラフト6位で入団。昨季9勝の190センチ右腕は、プロ1年目には直球が130キロに満たなかったこともあった。まさしく“成り上がり”で、8年目の春に大役をつかんだ男が、インタビューで開幕直前の思いを明かした。【取材・構成=金子真仁】

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井口監督から「いつ投げたいか」と聞かれた二木は「開幕で投げたいです」と答えた。「お前に任せた」と託されたマウンドは、もう目の前だ。

「開幕投手って名前があるくらい、すごく重要な役目だと思うので、自分が投げることにすごく不思議な思いです。1、2年目の頃を思い返すと、開幕投手なんて全く思ってもいなかったです」

高校時代も140キロが出たことはある。それがプロ1年目のある日、二木の直球に向けられたスピードガンには「128キロ」が表示された。

「恥ずかしいって感じでしたね、正直。周りはもちろん速い投手ばかり。恥ずかしいのと、なんでスピード出ないんだろうというのですかね。悔しいのもありました。みんなに、真っすぐ130キロ出ないじゃん、みたいに言われて。悔しい思いはもちろんすごく強かったです」

2軍コーチ陣の指導の下、鍛えて、食べての繰り返しで体を作った。名投手を多く育てた小谷正勝氏(75)にも教え込まれた。

「本当にいろいろなことを教えていただいて。小谷さんはよく『地面からの力をもらって投げろ』とおっしゃっていました。当時はどういうことなのかあまり分からなかったですけど、ここ何年かで、こういうことだったのかなと思い始めてきたんです。下半身をしっかり意識して投げろと。上体の力じゃなくて、足から。スパイクの引っかかりとかも含めて」

昨季は開幕直後に打ち込まれ2軍で調整。シーズン中盤に再昇格し9勝を挙げたが、復調への肝は右足つま先の粘りにあった。独特なフォーム自体、右足を起点に作り上げてきた。

「右足で立った時に力をためて、それが抜けないようにリリースまで持っていけるようこだわって。これを基本線に、ちょっとずつ変えてきた感じですね」

直球は今でも140キロ台前半。回転数は「たまに2400回転を超えるくらい。飛び抜ける数字はないですよ」と言う。圧倒的な球ではないものの、抜群の制球力+粘りあるフォームが「打ちづらい」と相手を苦しめる。セイバーメトリクスの指標「WHIP」でも、昨季は12球団屈指の“出塁しづらい投手”だった。

「フォームは、自分の中でタイミングが合わないことも結構あるんです。空回りする部分もたまにはあるんですけど、悪いことではないかなと。出塁については、四球を出さないからの数字だと思いますし、ストライク先行で投手有利のカウントをどんどん作っていけてるのが大きいのかなと思います」

ほろ苦く船出した若者が、努力の末に開幕投手にまで成り上がった。

「自分を褒めたい、とかは全くないです。3年目で1軍でかなり投げさせてもらって、5、6年目にもっと活躍したかったですし。やっと7年目で9勝。もうちょっと早く勝ちたかったのは正直あります」

己に厳しい一方で、ここまでの7年間をしみじみと「頑張ってみるもんだなって」とも振り返る。種市、佐々木朗ら素質豊かな若手投手陣のリーダーとしても期待は大きい。

「まだ先輩に頼ってしまうところもあるんですけど、年下もすごく増えてきて。いい影響を与えるというか、頼られたら何かできればなと思います。僕が勝ち星を重ねて活躍することが、年下の選手の頑張る糧みたいになるのなら、うれしいことではありますね」

優勝へと続く今季のチーム1球目を投げる。「二木でよかったなって思われる投球をしたいです」と意気込む。開幕投手で満足はしない。

「これからもいろいろな経験をしていきたい。まだまだびっくりするようなことが起こるように、頑張りたいと思います」

◆二木のWHIP 昨季は規定投球回に届かなかったが、0・91を記録。WHIPは平均が1・20~1・30で、1・10以下で一流、1・00以下で超一流とされ、二木の0・91は文句なしの成績だ。他の投手と比べても、パ・リーグトップの山本(オリックス)より良く、12球団では大野雄、菅野に次ぐ成績だった。

◆二木康太(ふたき・こうた)1995年(平7)8月1日、鹿児島県生まれ。霧島市立青葉小5年で野球を始め、国分中では軟式野球部。鹿児島情報高では2年秋に県大会優勝も、甲子園出場はなし。13年ドラフト6位でロッテに入団。背番号は19年オフに「64」から「18」に変更された。右投げ右打ち。

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