高速ライナーのまま、左翼ポール際の中段席に突き刺した。さらに三塁ベンチ前ではナインと「弓引きポーズ」を一斉共有。阪神の3番打者、ジェフリー・マルテ内野手(29)の話だ。

1点リードの3回2死フルカウント、高卒2年目奥川の浮いた144キロ直球を強振。今季10打席目で初安打初アーチをたたき込んだ。8回にも右前適時打を放って開幕3連勝に貢献。「チームの勝利が1番気持ちいい」と満面の笑みだ。

試合後には来日1年目の19年から続ける「弓引きポーズ」の正式名称!? も発表した。もともと母国・ドミニカ共和国の有名コメディアンから拝借していたポーズについて「ラパンパラです」とニヤリだ。

前日27日に試合前の声出しを担当した際、即席通訳を務めた坂本を通じて「ホームランを打ったらみんなでやってほしい」とお願いしていた。坂本から「いつ打つの?」と聞かれると「イマデショ! 」と即答。1日遅れで有言実行して「一緒にやってくれて楽しかった」と喜んだ。

そんなド派手な弾道とパフォーマンスに注目が集まりがちだが、中身の濃い打撃内容も見逃せない。

1回1死一塁では外角低めフォークを3球我慢してフルカウントから四球を選び、5番サンズの先制打をお膳立て。3回の1発も1ボール2ストライクから2球連続で低めフォークに耐え、甘いボールを引き出した末の豪快弾だった。

フォーク計5球の誘いに乗らず19歳の投球を窮屈にさせた「眼」の勝利。矢野監督は「選球眼もいい。相手にプレッシャーをかけられる打者。持ち味が十分に出ている」と納得顔だ。

開幕3試合を終え、打率2割2分2厘ながら3四球で出塁率4割1分7厘。「前の2試合もボールはよく見られていた」。本人の言葉からも自信が見え隠れする。来日3年目、日本の配球にも慣れて自慢の選球眼に磨きがかかる。21年は「ラパンパラ弾」を多く拝めそうだ。【佐井陽介】

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