オリックス山本由伸投手(22)が9回2安打無失点の熱投で、今季初勝利を今季初完封で飾った。中5日で121球。最速156キロの直球を軸に、8回まで毎回の13奪三振。7~8回には「追い込んだら空振りを狙って投げています」と5者連続三振。王者に二塁を踏ませない投球で、チームを5割に復帰させた。

「高山投手コーチが『お前で負けたら悔いはない。この試合、勝ちに行くぞ』と。もちろん(9回は)頭の片隅にあったので気持ちを入れ直して準備した」

覚悟を決めて、9回のマウンドに向かった。場内の拍手は鳴りやまなかった。最後は柳田を遊ゴロに仕留めた。「捕手の寅威さん、野手の皆さんに助けてもらった」。普段は味方にミスが出ても「切り替えて投げるだけ」と言うが、開幕戦の敗戦後は「負けるのは本当に…すごく悔しい」と珍しく落ち込んだ。「とにかく早く投げたいと練習してました」と気持ちを高ぶらせていた。

向上心こそ原動力。「納得いかない部分は必ずある。ずっと100点を目指しているけど、100点の投球は楽しくないと思う」。大人になっても楽しさを求める。「打たれたりする経験があるから、楽しい。真剣にやっているからそう思う」。進化は止まらない。

本拠地でのソフトバンク戦カード勝ち越しは18年4月28~30日以来。中嶋監督は「(続投は)迷ったんですけど…。完全に支配していた。(勝率5割に)また、ここがスタートライン」と力を込めた。右腕は「野球、とことん好きなので。楽しくやらないと!」と声を弾ませた。エープリルフールの夜でも、真っすぐな瞳に、うそはない。【真柴健】