ヤクルト金久保優斗投手(21)が粘り強く、プロ初勝利を挙げた。5回2/3を3安打7奪三振の3失点。今季チーム初の貯金1と3位浮上に貢献した。

集中を切らさなかった。3点差に詰め寄られた6回1死一塁で、打席は代打オースティン。2ボールとしたところで、降雨で2度目の中断となった。中断中の35分間は打ち取る自身の姿を繰り返しイメージ。再開後2球でカウント2-2へと立て直した。ファウルで粘られながらも、根負けせずに投じた9球目。147キロの直球で右邪飛に打ち取った。プロ入り後最多の107球。マウンドを託したリリーフ陣がリードを守り切り、プロ4年目、通算5試合目で念願の白星を手にした。初めてのヒーローインタビューでは、お立ち台から景色を聞かれ「ちょっと分からないですけど…。頑張りました!」と、初々しさがはじけた。

ひそかに思うライバルがいる。東海大市原望洋2年の16年夏。千葉県大会準々決勝で、木更津総合のエースだった早川(現楽天)と投げ合った。金久保は先発で6回1/3を2安打1失点。対して早川は5安打完封。0-1で敗れた。あれから5年。早川は20年ドラフト1位で楽天に入団。3月28日にプロ1勝を挙げた。遅れること17日。1勝目をつかみ、追いついた。「(早川は)フォームがすごくきれいですし、ストレートのキレもお手本のよう」と話す一方で「負けずに投げ切りたい」と闘志を燃やす。

150キロ超の直球が武器。4番村上とは同い年のドラフト同期で「僕もついていきたい」と力を込めた。変化球を磨き、1歩1歩、前へ進む。【湯本勝大】

◆金久保優斗(かなくぼ・ゆうと)1999年(平11)11月4日、千葉県八千代市生まれ。佐倉シニアでは投手として14年に春夏の関東大会、日本選手権、ジャイアンツカップの4冠。東海大市原望洋では17年センバツに出場し、滋賀学園に敗れたが延長14回を218球で完投。17年ドラフト5位でヤクルト入団。20年10月22日巨人戦で1軍初登板。183センチ、74キロ。右投げ左打ち。

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▽ヤクルト高津監督(金久保について) 成長株の1人。初めて勝つことができて、僕もうれしいです。よく頑張ったと思う。

▽ヤクルト塩見(3回の2号2ランについて) 1打席目にチャンスで凡退してしまったので絶対に取り返したかった。打つことができて良かった。