貯金10で首位を走る阪神が17日、異例の金銭トレードを敢行した。4年目右腕の谷川昌希投手(28)を交流戦前にパ・リーグの日本ハムに放出。中継ぎ陣が飽和気味の中で、定員70人の支配下枠を1つ空けて68人とし、補強ポイントの右の代打、右の野手枠に使える環境を整えた。現在2軍で打撃好調の育成2年目小野寺暖外野手(23)の支配下昇格など、さらなる強化に向けて次の1手が打てる状況をつくった。

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6連勝&貯金10で首位を快走する阪神が、谷川の日本ハムへの金銭トレードを発表した。シーズン中の金銭放出は03年5月に高波文一を西武に出して以来18年ぶり。嶌村聡球団本部長(53)は「いろいろ日本ハムさんと話をする中で、最終的に金銭トレードという形で決着した。結果としてひとつ枠が空いたということは事実」と説明した。阪神は支配下定員70人のところ69選手で開幕。トレード期限は7月末までで、緊急事態に備えて1枠は空けておきたい。だが飽和気味だった中継ぎ陣から谷川を放出することでもう1枠が生まれ、現在8人いる育成選手の支配下昇格にも使える。

現在、1軍メンバーはチーム状態を象徴するようにフル活躍状態。あえてウイークポイントを挙げれば、手薄感のある右の代打だろう。中でも、支配下の最右翼候補とみられる小野寺は絶好調を維持している。

2年目の今季は育成野手で唯一1軍キャンプに抜てきされ、2本塁打を放つなど怪力をアピール。1軍戦力が豊富でオープン戦途中に2軍落ちしたが、ウエスタン・リーグ17試合で打率3割2分8厘、1本塁打、10打点の大活躍。嶌村本部長は「それはまた今後のことになる。(7月末の支配下登録)期限まで、いろいろ模索は」と話すにとどめたが、弱点を補強できる1枠ができたことは確かだ。

もちろん、トレードの背景には球団の谷川に対する親心もある。昨季も14試合に登板した貴重な中継ぎ右腕だが、現在12球団トップの防御率1・99を誇る強力投手陣に割り込めず、2軍で調整を続けてきた。矢野監督は「現状、ウチでなかなか上に上げてやれる環境じゃない。アイツ自身の野球人生で、また自分の力で大きなチャンスをもらえると思う」と舞台裏を明かした。嶌村本部長も「トレードの活性化は非常に大事。選手は1軍で出てなんぼ」と投手陣が課題の日本ハムなら、大いにチャンスがあると期待を込めた。

阪神も巨人では出番のなかった山本を昨オフ金銭トレードで獲得し、今や欠かせない戦力になっている。日本ハムとは6月の交流戦で戦うが、今が互いに“ウインウイン”の出し時と判断。16年ぶりVへ盤石の態勢を整える。【石橋隆雄】

▼阪神谷川が金銭トレードで日本ハムに移籍した。昨オフに巨人から山本が加入したが、阪神から金銭トレードで他球団に移籍したのは05年の中谷仁(楽天へ移籍)以来。谷川はシーズンが始まってからの移籍で、このケースは阪神では6例目だ。ちなみに、高波文一が西武に途中移籍した03年、中谷の05年はいずれも阪神は優勝している。優勝翌年の04年1月にも、カツノリを巨人に金銭トレードしている。

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