阪神秋山拓巳投手(30)が、気迫あふれる投球で3勝目をつかんだ。「うしっ!」。広島打線に腕を振るたび、気合の入った声が無観客の甲子園に響き渡った。「勝たないといけないと自分では思っている。7連勝という結果にはなっているので、しっかり次回も期待に応えたい」。8回途中6安打2失点で、広島には昨季から無キズの7連勝。相性を見込まれての起用に、プレッシャーもはねのけてきっちり応えた。

「ここまでフォークが軸になってたんですけど、カットボールを軸で進められたのは、今日の1つの勝因かなとは思います」。今季あまり使っていなかったカットボールを多投。アウトコース、インコースへ丁寧に投げ分けて相手を手玉に取った。奪った約半分がゴロアウト。「前回東京ドームで球が浮いていたんで、低め低めというのはいつも以上に意識していた」。3回6失点で降板となった巨人戦から中7日。右腕が持ち前の安定感を取り戻した。

この日はスコアボードをひらがなで表示するなど、例年のこどもの日の企画を開催。秋山も、子どもたちの背中を押すことを願っている。「コンプレックスを抱えてる子でも、自分の長所を伸ばすことが出来れば、うまくなくても全然諦める必要なんてないと思う」。プロ野球は速い球を投げて、遠くに打球を飛ばすことが近年の潮流だ。それでも秋山自身が、他の武器でも活躍できることを教えている。「今日のピッチングを見て、また子どもたちになにか、ヒントを与えることが出来たらいいのかな」。画面の向こうへ、力強いヒーローの姿は伝わったはずだ。【磯綾乃】

▼秋山が広島戦で、20年7月21日から7連勝を飾った。プロ通算でも9勝で、ヤクルト戦13勝に次ぎ2番目の勝ち星を挙げている。7連勝中のこのカード被打率は1割9分5厘(205打数40安打)と、安定して抑え込む投球を続けている。

○…こどもの日の企画としてヒーローインタビューでは、ファンクラブキッズ会員から募集した質問が投げかけられた。お立ち台に呼ばれたのは秋山で、母が秋山と同じ西条高出身という子どもからは「高校時代に一番練習したことは?」という質問。「ずっとピッチャーやってたんで、走り込みっていうのは一番多くやってたのかなと思います」と返答した。「一番どこが良かったと思いますか?」との問いには「梅野の配球の意図をうまくくみ取りながら、はい、全体的に良かったと思います」と丁寧に答えていた。

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