収めていた刀を振りかざした。巨人岡本和真内野手(24)が4年連続の2桁本塁打を決めた。1点リードの7回2死一塁、1度もバットを振らずにカウントは2-2。広島コルニエルが決めにきた外角スライダーを切り裂いた。打球は低い弾道のまま伸び、右翼席最前列に突き刺さる10号2ラン。ベンチに戻るとウィーラーと両手でハイタッチをし「1本、1本の積み重ねですね」と笑顔を爆発させた。

第3打席までは全てファーストストライクを打って凡退していた。原監督は「まあ今日は少し眠っていたのかなという状況があったんですけど、あそこで完全に『眠狂四郎』みたいな形でね」と称賛。柴田錬三郎原作の時代劇に登場する剣客で、降りかかる事件を秘剣・円月殺法で切り捨てる眠狂四郎に重ねた。この日亡くなったことが明らかになり、指揮官が「大好きな俳優さんだった」という田村正和さんの最後の出演作品こそ「眠狂四郎 The Final」だった。

4年連続の2桁アーチで本塁打はリーグ2位タイに付けた。トップのヤクルト村上とは2本差で背中を視界に捉える。第89代4番としては95本目のアーチ。球団では過去6人しか成し遂げていない「4番で100本塁打」の偉業達成も近づいてきた。岡本和は「チームの勝ちにつながるホームランを打てるように明日からまた頑張ります」。目の前の難敵を切り払い、勝利に貢献し続ける。【久永壮真】