主砲が雨を切り裂いて決めた。楽天浅村栄斗内野手が同点の8回、待望のアーチをかけた。

「フラストレーションがたまっている中で、ようやく1本が出た」。決勝3号ソロは今季の本拠地初本塁打。お立ち台では「今年(本拠地で)打てないんじゃないかと不安でしたけど、打てて良かった」と、ヒーロー賞の10万楽天スーパーポイントを受け取った。

なかなか本拠地でホームランを打てない自分にふがいなさを感じていた。「震災から10年ということでスタートした。今年は本拠地で打ちたいという思い。僕たちは野球をやる中で勇気づけたり、そういう力があると野球にはあると思っているので」。本塁打王に輝いた昨季は32本塁打中、21本塁打を楽天生命パーク(60試合)で放った。今季は同球場で21試合目に1本目。やっと、秘めていた思いを体現できた。

1回は好守でピンチを最少失点に抑え、5回には同点打も放つなど攻守で大活躍した。石井GM兼監督も「浅村選手には今日は15万ポイントあげてもいいんじゃないですか」と、賛辞を贈った。浅村は「でも、これじゃ全然ダメ」と気を引き締める。ただ、抱えていたふがいなさは「少しは楽になったかな」。モヤモヤを少し晴らした背番号3の笑顔とともに、試合後は雨もやんでいた。【木下大輔】

▽宋家豪(8回に好救援で今季初勝利) 台湾も(コロナ禍で)けっこう大変な時期がありました。自分のいいピッチングで勇気をあげたいと思った