反攻の6月へ。広島栗林良吏投手(24)が「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦で、3点リードの9回を打者3人で終え、無失点リレーを締めくくった。開幕から20試合連続無失点で、11セーブ目をマーク。チームの連敗を止め、交流戦最下位からも抜け出した。チームは5月に離脱者が相次いだが、続々と復帰している。絶対的守護神とともに、反攻体勢を整える。

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最後のアウトを確認し、栗林はグラブをポンッとたたいた。先頭の平沼から150キロ直球で空振り三振を奪うと、続く王は内角を突いて死球を与えたが、動じない。最後は大田をカットボールで詰まらせて、無失点リレーを併殺で締めくくった。11セーブ目を手にし、開幕から20試合連続無失点とした。

「よくここまでこれたなと思いますし、次の試合は初登板の気持ちでまた頑張りたいなと思います」

座右の銘とする「謙虚」な姿勢で、慢心を排除する。1球1球、丁寧に、力を込める。2リーグ制以降では新人記録となるデビューからの連続無失点記録を更新しても、次のマウンドがはじめの1歩。セ5球団の打者を抑え、臨んだ交流戦でも、西武、ロッテ、日本ハムを寄せ付けない。

広島の絶対的守護神となった右腕の人気、知名度は今や全国区。7月に行われる「マイナビオールスターゲーム2021」のファン投票中間発表では、セの抑え部門でリーグ最多セーブの阪神スアレスを抑え、最多得票だ。それでも「スアレスに抜かれると思うので。本当に何とも思ってないです」と、そこでも謙虚な姿勢を崩さない。

左足を大きく上げたとき、右足のつま先はやや二塁方向へ傾く。「本当は三塁側に真っすぐのままがいいのですが、それだと前に突っ込み過ぎてしまう。まだ体の柔軟性が付いていないので、一番立ちやすいようにしている」。過信も、背伸びもしない。常に謙虚に、現状のベストパフォーマンスを出せる状況を探っている。

新型コロナウイルス感染で離脱していた菊池涼の復帰戦を勝利で飾り、連敗を止めた。離脱者が次々に復帰し、広島の反攻体勢が整ってきた。「信頼してもらえる投手というのが、投手をやっていて一番やりがいを感じます。1年間もそうですけど、野球人生で信頼してもらえる投手になりたい」。6月の反攻に、栗林は欠かせない。【前原淳】

▽広島ドラフト2位森浦(6回1死一、三塁から2番手で登板し、無失点の好救援でプロ2勝目)「(先発の)野村さんが粘って良い投球をしていたので、ゼロで抑えられてよかった」

▽広島野村(5回1/3を7安打無失点で勝利に貢献)「球自体は悪くなかった。その中でゲームはつくれた。ただ、イニングの途中での降板はやっぱり悔しいです。森浦がしっかり抑えてくれたので感謝しています」