交流戦、優勝だ! オリックスが広島に競り勝ち、11年ぶり2度目の優勝を果たした。2回に福田の三塁打で3点を先制。先発田嶋が5回無失点で踏ん張り、6回以降は小刻み継投でしのいだ。1分けを挟んで今季初の5連勝、貯金を2とした。交流戦Vを自信にペナントレースでも25年ぶりの優勝へ-。誰かが誰かを助ける“日替わり救世主”で勝ち進む。オリックスには優勝賞金3000万円が贈られる。

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ゲームセットの瞬間、中嶋監督は右拳を突き上げた。ベンチでグータッチを終えた後、ナインを迎えて拳を合わす。“マスク越し”に声を掛ける姿は現役時代から変わらない。

10年以来の交流戦Vに「選手たちが本当によく頑張ってくれた」とねぎらい、MVPは「もう全員。誰1人欠けてもこのような成績をあげることはできなかった」と日替わりヒーローたちをたたえた。

観察、声掛け、確認…。中嶋監督のささやきが選手たちを鼓舞する。昨季途中に監督代行を務め、今季が就任1年目。NPB最長となる実働29年の捕手出身監督。就任当時から「対話重視」は変わらない。「全員が戦力。ベストな状態を探していく」と勝っても負けても、次策を練る。交流戦17試合、全てで日替わりオーダーを組んだ。

人間味あふれる秋田出身の52歳。昨季途中に「一緒に1軍に行くぞ」と大阪・舞洲の風呂場から連れ出したラオウこと杉本は、悩んだ時期に「ずっと良い状態が続くわけない。誰でも絶対」と言葉をもらい、心が楽になった。好調時は「そっとしてくれる」。不調時には「精神面も打撃面の技術も。言ってほしいことを言ってくれる」と指揮官の察知能力に感謝する。

開幕から遊撃で起用されている19歳紅林は「監督に恩返しがしたい」。8日巨人戦の9回2死、中堅守備で目測を誤り、打球を後逸した福田は「僕のミスで引き分けに。(翌日は)いつも通りでした。まだ使ってくれるということは…。期待に応えたい」。大事な“優勝決定戦”で2回2死満塁から走者一掃の三塁打で3点先制を呼んだ。

今季初の5連勝でパ・リーグでは首位楽天と3ゲーム差、2位ソフトバンクに1ゲーム差。視界良好、ペナントの頂点も見える。この日は無観客試合だっただけに、指揮官は「見ていただきたかった。もっと喜んでもらえる結果を、秋に見ていただけるように」と宣言。96年以来のリーグ優勝へ-。歩みを止めない。【真柴健】

▽オリックス森川球団本部長(優勝賞金の3000万円の使い道について)「決まったばかりなので、これからじっくり検討します」

◆オリックス10年交流戦優勝VTR 岡田監督1年目、借金6のリーグ戦4位で交流戦に入った。坂口、後藤、T-岡田や北川、カブレラらの打線が活発で、チーム打率2割9分7厘、145得点は交流戦トップ。岡田監督は平常心を保つため「優勝」の2文字を封印し「アレ」と表現。最終戦で横浜に勝ち、16勝8敗で初優勝を果たした。パの全チームが勝ち越したため、リーグ順位は4位で交流戦前と変わらなかったが、貯金を2とした。ただ、リーグ戦に戻ると交流戦のような勢いを保てず、最終的には69勝71敗4分の借金2で5位に終わった。今年は10年のように失速せず、V争いに参戦できるか。

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