こんな日だから「言葉」で、伝えたい。6月の第3日曜日は父の日。プロ野球界で花開こうと奮闘する若手選手が、父から幼少期に送られた厳しくとも愛のある言葉を回想した。さらに、日頃は面と向かって言いづらい父への感謝の言葉も披露した。

<ヤクルト元山飛優>

「1番を目指さないと1番になれない」。ヤクルト元山飛優内野手(22)は、父誠司さん(51)譲りの性格が原動力となる。「小学校ぐらいからずっとめちゃめちゃ言われました。父が負けず嫌いで。僕は最初はそうではなかったんですけど、言われ続けました」。2番を目指しても2番になれない。頂点だけを見すえて練習を重ねてきた。生駒ボーイズ時代は、気が緩んだプレーをすると、グラウンドから車で40分かかる大阪府内の自宅まで走って帰らされたこともある。「1回、2回どころじゃない。めちゃめちゃ厳しかったです」と笑うが、闘争心をたたき込まれ、プロ野球選手へと導いてくれた。

今でもきっかけを与えてくれる。プロ入り後も試合に出場すると、連絡が来る。内容は毎試合、毎打席の印象や感想。それを参考に打撃動画を見直してフォームの改善へつなげることも多い。「自分が家を出る中学3年生まではほぼ毎日自分の野球見てくれたし、高校大学に行っても、ちょくちょく見に来てくれた。自分の状態を知っているのは、自分よりも父なのかなと思います。父の指摘で何回も調子が良くなった」と一番のファンであり、コーチである存在を思った。

20年ドラフト4位でヤクルトに入団。OB宮本慎也氏以来の背番号6を託され、首脳陣からかかる期待は大きい。開幕1軍をつかみ、継続的に出場機会を得ているが、満足には程遠い。「これが今の実力やなってしっかり受け止めて」。向上心を持ち続けて、成長を続けていく。「今は佐藤輝明が一番目立ってますけど、同学年の中で1番になりたいというのが大きい」。不屈の心で飛び抜けて優れた選手になる。プロの1軍でもがく今だからこそ、厳しく育ててくれた父親へ送りたい言葉は-。

元山 目立ちたい、負けず嫌いな人が上に行ける世界かな。父のおかげでそういうところは持てているので、続けていきたい。

闘志をみなぎらせて、断言した。【湯本勝大】

◆元山飛優(もとやま・ひゆう)1998年(平10)12月4日、大阪府生まれ。佐久長聖では1年夏に三塁手として、3年夏に主将兼遊撃手で甲子園出場。東北福祉大では大学日本代表に選出。20年ドラフト4位でヤクルトに入団。初出場した3月27日阪神戦でプロ初安打と初本塁打。180センチ、79キロ。右投げ左打ち。