ソフトバンクから阪神に移籍した二保旭投手(31)が、伝説のサイド右腕、小林繁以来42年ぶりの快投を目指す。

5日、西宮市内の球団事務所で入団会見。紺のスーツに、鷹の後輩高橋礼、甲斐野、川瀬の3人から贈られた黄色い阪神カラーのネクタイ姿で登場した右腕は、力強く救世主役を誓った。

「今、優勝争いをしているところで、少しでもチームに貢献できるように頑張ります」

6月30日にウエスタン・リーグのソフトバンク-中日戦(ナゴヤ)で投げて中6日。いきなり9連戦2戦目となる7日ヤクルト戦(神宮)で先発デビューを託された。新チームは巨人の猛追を受け、首位ながら厳しい情勢にある。「正直、こんなに早くチャンスがいただけると思っていなかった。それだけ期待されているのかなという気持ちになりましたし、自分も恩返しをしていかないと」と、やる気をみなぎらせた。

2日にトレードが決まったばかり。「まずは先発が決まったので、家どうこうより、そこに集中してやっていこうかなと」。新居探しや引っ越しよりも、7日の神宮にすべてをかける。トレードによる移籍初登板初先発での勝利なら、球団では江川と交換された小林繁が、1979年(昭54)4月10日の古巣戦(甲子園)に勝って以来。「どれだけ自分が大事な試合になるかは分かっている。楽しむことを忘れず、歴史に名を連ねていけるように頑張りたい」と必勝を期した。

矢野監督からも電話で「期待しているから頑張ってくれ」と激励を受けたという。「まずは試合をつくること。『二保は使えるな』と思ってもらえるような投球をしていきたい。(ヤクルトの)データはまだ分からないので、(捕手の)梅野選手だったり話し合って聞いていきたい」とツバメ退治の準備を徹底する。

会見後には甲子園での投手練習に青柳、秋山らと初参加。背番号34の新しい練習着でキャッチボールなどで汗を流し、東上した。精神的にもタフな二保なら、白星で新しい歴史を刻めるはずだ。【石橋隆雄】