阪神佐藤輝明内野手(22)がエキシビションマッチ4戦4発となるソロを放った。バチン! ボールがつぶれるような破壊音とともに、強烈な打球が甲子園の右翼席へ。同点の8回1死、「もう、打った瞬間だったんで。すごいいいホームランだった」と、勝利を決める1発を確信し、打球を堂々と見送った。

西武十亀の2球目、苦手な内角143キロを捉えた。ビジョンに表示された飛距離は137メートル、打球角度28度。そして打球速度178キロは甲子園で打った12本(公式戦8本、エキシビション4本)の中で最速だった。「いい打球だったんで。速ければ速いほど本塁打になる確率も高いと思うので」。本人も手応え十分の打球はこの日も右翼から左翼へ強めに吹いていた浜風すら関係なかった。本塁打の平均打球速度は140~150キロ。日本球界では180キロがトップクラスといわれ、佐藤輝のバットからいつ飛び出してもおかしくない数字だ。

矢野監督は「一発で仕留められている。調子が悪くなったらあれがファウルや凡打になる。いかにそういう(甘い)ところに引き込んでいくかが後半のアイツの課題」と話し、佐藤輝に求めるレベルは高い。本人もストライク、ボールを見極め、何でも振らないように取り組んでいる。

ほぼ同時刻に東京五輪ではフェンシング男子エペ団体で金メダルを獲得。日本史上最多17個目の金メダルを祝福するような1発となった。五輪後、後半戦スタートと同時に今度は佐藤輝が日本中を沸かせる。【石橋隆雄】