首位阪神の青柳晃洋投手(27)がプロ6年目で自己最多の10勝目をリーグ一番乗りで挙げた。DeNA戦で7回2失点にまとめ、自身8連勝と勢いは止まらない。15年ドラフト5位入団から成長してきた右腕は、勝利数と防御率、勝率の3部門でトップを走っている。チームは連勝で、2位巨人との2ゲーム差を守った。

木浪と並んだお立ち台で、青柳は顔をほころばせた。「プロ入ってからはドラフト順位関係なく頑張れば活躍できるっていうのを、これからプロ入る選手に見てもらえたらいいなと思います」。6年目で初めて到達した10勝は、ドラフト5位以下の選手では阪神史上初の快挙。15年ドラフト5位で入団してから、1歩ずつ成長してきた証しだ。

キレのあるツーシームを軸に、19年に習得したシンカーやスライダーで持ち味を見せた。「打たせて…というよりは打たれて取る感じだった(笑い)」。3回には2死一塁で、走者の神里に2度けん制を続けて刺した。かつて課題だったフィールディングは、アウトを奪う武器になった。

人生初の日の丸を背負った東京オリンピック(五輪)で最高の歓喜を味わった。侍戦士として上がった表彰台。「ザキさんも表彰式で初めての優勝だと言っていました」。金メダルを首に掛け、左隣の岩崎と言葉を交わした。青柳の右隣にいたのは、ソフトバンク甲斐と柳田。「日本一よりうれしい」。4年連続日本シリーズを制した常勝軍団の2人は、喜びをそう表現していた。「『僕たちは何にも言えないですね』と言っていました」。頂点を知る人にしか分からない境地。次はきっと自分の腕で導いてみせる。

矢野監督は「うまい選手ではないけど、本当に努力できる選手。本当に心強く思います」。青柳にとってはまだ道の途中。「13勝が当初から挙げている目標なので、ここを通過点としてまた来週から頑張っていきたい」。頂点を目指して、ひたむきに上っていくだけだ。【磯綾乃】

▼青柳が今季10勝目を挙げ、プロ6年目で初の2桁勝利。阪神投手のセ・リーグ10勝一番乗りは15年藤浪以来10人、12度目(村山と井川が2度)。自身初の2桁勝利がセ・リーグ10勝一番乗りになったのは14年井納(DeNA)以来で、阪神では73年上田二に次いで2人目だ。これで青柳は5月14日巨人戦から8連勝。阪神でシーズン8連勝以上は10年能見以来だが、右投手では日本一になった85年に開幕から9連勝した中田良以来となった。