<楽天1-5ロッテ>◇28日◇楽天生命パーク

岩手出身のロッテ佐々木朗希投手(19)が、東北凱旋(がいせん)登板で2勝目を挙げた。

楽天17回戦(楽天生命パーク)に先発し5回を3安打無失点。少年時代にファンとして観戦に訪れた球場で、約3カ月ぶりの白星を挙げ、チームを3連勝に導いた。

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夏の終わり、ロッテ佐々木朗希が大船渡に吉報を届けた。故郷は遠い。偶然にも自己最高球速と同じだが、大船渡市内には「仙台まで163キロ」の標識がある。

「今まで当たり前だった景色がなくなってしまうので、すごく寂しいなと思いました。なかなか帰って来られない場所なので」

598日前、そう感じながら上京した。初めての1人暮らしより「新しい人と触れ合う方が不安があるというか…」と口にした。それだけ濃密な時間を過ごした港町。昨年末に帰省し仲間たちに会った。「成長はあまり感じなかったです」と笑い「みんな、彼らなりに苦労してる感じだったので」と優しく添えた。

「お互い苦労を積み重ねて、どんどん成長していけばいいかなと思います」と感じている。自身も夏場、勝てないもどかしさをよく言葉にした。それぞれの場所で大人になっていく。

若者たちが巣立っても、大船渡は元気だ。この日朝、これまた偶然にも、今年初めて大船渡港にサンマが水揚げされた。秋の味覚がさっそく食卓に並ぶ家庭もある中での、ヒーローの東北初勝利。港町は朝から晩まで“大漁”だった。【ロッテ担当 金子真仁】