復活星だ。広島床田寛樹投手(26)が6回5安打無失点で2勝目を手にした。5月27日西武戦以来の1軍登板で、立ち上がりから飛ばし、自身初の2桁奪三振。6回まで三塁を踏ませぬ好投で3月31日以来の白星を挙げた。佐々岡監督も絶賛する投球でチームを4連勝に導き、最下位から同率4位に浮上させた。

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94日ぶりの1軍マウンドとなった1回の投球に、新たな床田の姿を見た。先頭近本に初球真っすぐを中前にはじき返されても、会沢の強気なリードに自信を持って腕を振った。1回の全13球のうち9球が真っすぐ。2番中野を147キロ外角高めで空を切らせ、続くロハスはカウント2-2から外角低めに147キロをズドン。サンズは真っすぐ2球で追い込むと、スライダーで3者連続三振を奪った。

「初回からどんどん真っすぐで行けた。スピードも出ていましたし、それを継続できたので良かった」

立ち上がりの投球で“剛”のイメージを植え付けた。2回以降は75日ぶり1軍復帰の会沢の好リードもあり、スライダーやツーシーム、カーブを巧みに交えた。2回までに奪った4三振のうち3個は真っすぐが決め球。3回以降に奪った6三振のうち5個は変化球だった。5回までは二塁すら踏ませず、6回2死一、二塁も、糸原を空振り三振。6回にはこの日最速149キロを計測するなど剛と柔を使い分け、阪神打線に的を絞らせなかった。「真っすぐがすごく良かったので、変化球が生きて振ってくれたと思う。データ的にも(相手打者の頭には)変化ってなっていたと思うので。追い込んだら(三振を)取ろうと」。狙って、自身初の2桁三振を奪った。

開幕ローテ入りし、今季初登板初勝利も、その後は勝てずに6月4日に降格となった。2軍でも勝てずに、7月以降は大量失点する登板が続いた。「真っすぐは走っているように感じているが、変化球に頼って痛打される。変化球ばかり投げていては、いざ真っすぐを投げても行かなくなった」。7月下旬、九里の助言から思い切って筋トレの量を増やした。実戦では直球の割合を増やし、肘も少し上げるようにした。直球にキレと球威が戻り、1軍昇格の切符をつかんだ。

開幕前は先発の柱の1人として期待した左腕が3月31日以来の2勝目を手にした。今季2度目の同一カード3連勝。前カードから4連勝で最下位から同率4位に浮上した。佐々岡監督は左腕の復活登板に「気合も入っていた。本当に素晴らしい投球。ずっとこれを期待していた。本当に100点満点です」と手放しでほめた。シーズン終盤、ようやく殻を被った左腕がローテーションに加わった。【前原淳】